『時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける』というスローガンを掲げ、企業の業務効率化や生産性向上を実現するソフトウェアやクラウドサービスを提供しているシステムインテグレータ。同社が企画・開発段階から携わった完全統合型のWeb-ERP「GRANDIT」は、多種多様な業界でビジネスを展開する情報システム企業のノウハウを集めた純国産ERPソリューションとして注目されている。

GRANDITの特徴は、コンソーシアム方式を採用し複数のSI企業が関わっているところにある。開発がスタートしたのは2002年で、『完全Web型のERPを作りたい』という思いで企画・開発が進められた。システムインテグレータもプライムパートナーの一員として携わっていたという。システムインテグレータ ERP・AI事業部の興津 敦氏はGRANDIT誕生の経緯を次のように語る。

システムインテグレータ ERP・AI事業部 興津 敦氏

システムインテグレータ
ERP・AI事業部 興津 敦氏

「『GRANDIT』企画当時、国産製品では存在しなかった完全Web型のERPを1社単独で開発するのは難しい状況でした。そのため、国内で活躍するSI企業が集い、5~6社が賛同するかたちで開発をスタートしました」

複数のSI企業のノウハウが惜しみなく投入されたGRANDITは、純国産のWeb型ERPパッケージとして2004年にリリースされた。ERPでは、会計システム・販売システム・生産管理システムなど個別の製品をリンクさせてパッケージ化している製品も多いが、GRANDITは「1つの製品ですべての基幹業務を統合した仕組みを作る」という設計思想で開発されている。興津氏は、各業務システムを完全統合したことで生まれたメリットとして、

 

  • 業務間のデータがリアルタイムにリンクされること
  • データベースも一元化されるため、データの収集・分析が容易になること

などを挙げた。 さらにGRANDITには、データの分析・活用を行うBI機能や、各種承認作業を効率化するワークフロー機能など、基幹業務以外をカバーする機能も標準機能として搭載されている。

リリースにあたっては、製品メーカー、保守会社としてGRANDIT株式会社が設立された。システムインテグレータを含めた他の参加企業は「プライムパートナー」という位置づけでプロジェクトに関わるコンソーシアム方式を採用した。プライムパートナーが自社の得意とする業種にGRANDITを展開し、顧客からの要望や、導入を進めるなかで得たノウハウをフィードバックすることで、継続的かつ効果的なバージョンアップ体制を構築。さらにプライムパートナーそれぞれがターゲットとする業種向けのアドオンやテンプレートを開発し、業種ごとの最適化が図られている。システムインテグレータでは製造業をメインターゲットに据え、製造業に特化したアドオンを開発して顧客のニーズに応えているという。

ERP+クラウド+ネットワークを月額サービスとして提供

GRANDITはブラウザベースで利用できる完全Web型のERP製品のため、IaaSなどクラウド基盤との相性も抜群。あらゆる業種でデジタルトランスフォーメーションへの取り組みが進む状況では、基幹システムのクラウド移行を検討する企業も多く、その際の選択肢としてGRANDITが検討されるケースも増えてきていると興津氏はいう。

「GRANDITはWebブラウザがあれば利用でき、クライアントPCにソフトをインストールする必要はありません。クラウド基盤との親和性も高く、近年の企業ニーズに応えられるERPといえます」(興津氏)

そして、クラウドベースでGRANDITを導入するには、クラウド基盤とネットワークインフラの選択も重要になってくる。システムインテグレータでは、クラウドを前提としたシステム構築を求める顧客のニーズに対し、さまざまなクラウド基盤、ネットワークインフラを提案しているが、現在提案するケースが増えているインターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が提供するIaaSソリューション「IIJ GIO」だと興津氏はいう。その理由として

  • IIJの企業ブランドが持つ安心感
  • クラウド基盤だけでなくネットワークも含めたカバーレンジの広さ
  • フットワークの軽さと多様なニーズに対応できる柔軟性
  • 価格面でのメリット

などを挙げ、「弊社はソフトウェアやサービス開発がメインで、インフラやネットワークまでを含めた提案をいただけるIIJさんとの連係は非常に効果的です」と興津氏は語る。すでに複数の案件でGRANDITとIIJ GIOの組み合わせが採用され、システムの構築が進んでいるという。こうした成果もあり、同社はIIJのサービスを使って優れたIT環境を提供した企業を表彰する「IIJ Partner of the Year」において、2018年のビジネスイノベーションアワードを受賞している。

「オンプレミスの基盤でGRANDITを運用している顧客からも、クラウドへの移行を検討しているといった声が増えてきています。先方からの指定がない場合は、価格的なメリットもあり、ネットワークの構築までをサポートしてくれるIIJのクラウド基盤を採用したシステムを提案することが多くなると思います」(興津氏)

同社は2019年3月よりGRANDITをサブスクリプションで提供開始している。これにより、ERPの刷新に多くの予算が使えない企業にも導入がしやすくなるだろう。IIJ GIOと組み合わせた「インフラ+ソフトウェア(ERP)」のパッケージは月額課金モデルとしてすでに展開されており、今後もIIJとの連係を深めていくことを明らかにした。

  • システムインテグレータ ERP・AI事業部 興津 敦氏

すべての業務システムを1つのパッケージに統合し、ワークフローやデータの分析・活用を行う機能なども標準装備。さらにわかりやすいUIを採用しWebブラウザだけで利用可能なGRANDITは、「業務効率化」「生産性向上」「属人化の解消」「内部統制の強化」といった現代の企業が抱えるさまざまな課題を解決するソリューションといえる。システムインテグレータでは、製造、設備工事など業種に特化したアドオンの強化のほか、同社が開発しているRPAソリューションを利用した自動化なども進めていく予定だという。

システムインテグレータとGRANDIT、そしてIIJ GIOの連携が生み出す展開には、今後も注視していく必要があるだろう。

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