「かつて世界をリードした日本の半導体産業だが、今では韓国や台湾などにシェアを奪われ衰退の一途を辿っている」という認識が広がりつつある。だが、半導体の製造装置・材料の国内工業会であるSEMI ジャパン代表の中村修氏は「それは大きな間違いです」と真っ向から否定する。本記事では、中村氏が「日本の半導体業界は今でも世界をリードする存在」だと答えるその根拠について、様々な数値を元に解説する。

SEMI ジャパン 代表 中村修氏

全世界的に絶好調な半導体業界

近年、ITの進歩と普及は急激に速度を増し続けている。そして、IT技術の根幹を支える半導体業界もまた、大変な勢いで成長し拡大を続けている。 SEMIの予測によると、2017年の半導体材料の市場は約3%、半導体製造(新品)装置の市場に至っては最新の予測では30%という成長が見込まれている。IoT、AI、自動運転、ビッグデータなど、次々と新しいトレンドが登場している現状からみても、この傾向はしばらく続くものと予想される。

現在、半導体業界にネガティブ要因はほとんど存在しない。あえて言うならば「需要があまりにも多く、供給がそれに追いついていないことが問題」と言えるかもしれない。

(図1)2017年半導体市場予測

にもかかわらず、日本の半導体業界に対するネガティブなニュースばかりが流れ、一般に「日本の半導体業界は衰退しているのではないか」という認識が広がっている。このような認識に対して、中村氏は「日本の半導体業界は、他のどこにも負けないくらいに元気であり、世界をリードする存在です」と反論する。

数値が証明する日本の半導体産業の実力

具体的な数値を示しながら、中村氏は以下のように日本の半導体業界の現状を解説した。

「例えば、材料関係では日本企業のグローバルシェアは50%以上となっています。製造装置の日本企業シェアは約35%ですが、トップ10社のうち常に4~5社は日本企業が占めています。半導体業界の中でもっとも元気な国は、昔も、そして今も日本なのです」

例えば、図2は「世界各地域の半導体前(ウェーハ処理)工程の生産能力」を表したグラフである。これによると日本は全体で2位、200mm以下の小口径ウェーハについては世界1位の生産能力を保有している。

先端性の微細なパターンのICを製造する技術という点からみると200mmは300mmには及ばない。だが、200mmウェーハは日本が長年にわたり培ってきた技術でもあり品質とコストの面では優れている。そして今、この200mm以下の工場の需要が急速に高まっている。例えば、IoTに使用されるICチップでは、強力な処理能力を必要とするものは少なく、生産効率化、多様性が重要となるため、製造には300mmよりも200mmの方が適している。今後IoTが広がり続けていけば、その需要はさらに高まることは間違いない。

(図2)世界各地域の半導体前工程生産能力(ウェーハ口径別)

多様性を備えた日本の半導体産業

図3のグラフは、「世界各地域の半導体前工程の製品種別生産能力」である。台湾がFoundry(半導体デバイス)に、韓国がMemory(フラッシュメモリ)に特化している一方で、日本の半導体産業は、全体的な製品種別のバランスが取れた比率となっている。

昨今では、半導体も「容量」や「処理能力」ばかりが重要視される状況ではなく、用途や使用場面に応じて、最適化された機能、省電力、小型化などの多様性が求められている。つまり、日本の半導体産業は多様な要求にも対応できる、バランスが取れた状況にあると言えるのだ。

(図3)世界各地域の半導体前工程生産能力(製品種別) 出典:SEMI Fab View 2017年9月

世界を支える日本の半導体業界。その今と未来を伝える「SEMICON JAPAN 2017」

世界で、そして日本で躍進する半導体産業。その、新進気鋭から世界をリードするトップ企業までが一堂に介する、世界最大級の半導体製造・材料の総合展示会「SEMICON Japan 2017」が、2017年12月13日(水)~15日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて開催される。今回のテーマは「マジックが起きる。」だ。

「AIやIoTなどの技術は、未来を大きく変える技術だと言われています。そして、その技術の多くは、日本の半導体メーカーと装置・材料メーカーが支えています。夢のような未来を導く存在が、一箇所に集まる場、それがSEMICON JAPANです。是非、多くの方々に日本の技術力を、そして未来を体感していただきたい」と中村氏は語る。

日本、そして世界のトップエグゼクティブやエキスパートを招いて開催される「Super THATER」、IoT・AI・自動運転など多種多様なセッションが用意された「TechSTAGE」、スタートアップ企業と投資家を結びつける「INNOVATION VILLAGE」など、様々な催しが予定されている。

今年は「マジックを起こす。」ために、来場者同士がコミュニケーションを広げるためのネットワーキング・イベントを強化。その目玉となるのが、「Tech STAGE」でセッション終了後、その場で交流会へと移行する「GET TOGETHER」だ。

SEMICONのイベントは、一部のレセプションを除き、すべて無料で参加可能。ただし、人気のあるセッションやセミナーは、早々に定員に達してしまうこともあるので注意が必要だ。中村氏によると、「昨年は、開催1ヶ月前の段階で定員に達したものがいくつか出ていた」とのことなので、早めの申し込みをお勧めする。なお、SEMICON JAPAN 2017についての詳細、および申込みについては以下のURLを参照いただきたい。

若手エンジニア向け「WELCOME CARD」

SEMICON Japanでは、未来に向かって進む若手社員を応援する様々な特典付きの「WELCOME CARD」を発行している。具体的な特典の内容は以下を参照いただきたい。「WELCOME CARD」を提示すれば特典が受けられるとのことなので、こちらからダウンロードして是非とも活用いただきたい。

「若手エンジニア(学生)来場特典」
http://www.semiconjapan.org/jp/youngengineers/

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