
米国が9月16日、日本に対する関税措置を修正した。トランプ大統領が講じた幅広い品目に対する相互関税、自動車・自動車部品関税などが引き下げられた。それでもトランプ氏就任前に比べれば高い関税率を課されている状況は変わらない。鉄鋼・アルミ製品への関税50%も残る。政府は、産業への打撃を緩和する施策を求められる。
相互関税は修正により、既存関税率が15%未満なら15%に引き上げられ、15%以上なら同税率を維持された。米国が8月に既存関税率に15%を上乗せしたが、7月の日米合意に則した形に改定。併せて、自動車関税も合意通りに27.5%から15%へ引き下げられた。
政府は、半導体・半導体部品、医薬品に対する関税率も、他国に劣後した扱いとならない「最恵国待遇」を確保したとも説明した。ただ、これに関しては、米大統領令に記されておらず、積み残しとなっている。
「年間5兆円の関税を課されている状態から、3兆円前後に引き下げることが合意の結果」
赤澤亮正経済再生担当相は19日に開かれた衆院予算委員会の集中審議で、合意成果を説明した。「影響はこれから出てくるものもあり、臨機応変に(経済対策を)検討していくことになる」。
ただ、トランプ氏が関税を発動する4月以前、自動車への関税率は2.5%だった。日本自動車工業会の片山正則会長(いすゞ自動車会長)が言うように、「15%は小さい数字ではない」。
政府内からは「トランプ氏がすぐさま高関税を転換することは想定しがたい」(経済官庁関係者)との声が上がる。経済産業省は26年度の税制改正で、設備投資の新たな促進税制を要望。減価償却を取得初年度に一括して計上できる「即時償却」の導入を検討する。自動車産業を支える中小企業がリスクを抑えられる仕組みも模索する。
高関税が「ニューノーマル(新常態)」となる中、影響を抑え、成長の種をまくアイデアの実施が急務となっている。