
『理想』と『現実』の兼ね合い
『理想』と『現実』の兼ね合いをどうするか─―。これは、どの国にとっても永遠の課題だ。
先の大戦終了(1945年=昭和20年)から、今年8月で80年となる。敗戦国から再出発した日本は復興を成し遂げ、自由世界第2位の経済大国となった(1968)。
それから57年が経つ今、GDP(国内総生産)では中国、ドイツに抜かれ、世界4位となっている。かつて日本は、世界のGDPの17%強を占めていたが、今は3%台にまで縮小。世界における日本の存在感は薄まっている。
戦後80年の間に、どん底から復興、成長、成熟化という過程を経てきているわけだが、日本の良さ、強みは依然としてあると思う。
インバウンド(訪日観光客)は今や、年間約4000万人にのぼり、コロナ禍前の水準を超えるほどに多くの外国人が日本を訪れる。
おもてなしをはじめ、和食、歴史的建造物や自然風景などの『和の文化』に触れ、外国の方々も心が癒され、居心地がいいのだと思う。
神道や仏教に由来する共生・共存の考え方に共鳴する外国人も多い。ウクライナ戦争、中東での争いと、世界で『分断・対立』が続く中、日本の果たすべき役割、使命もあるのではないか。
共生・共存という『理想』に向かって、どう生きる道を選択するか。『現実』には戦争が随所で起き、解決の糸口は容易には見いだせないが、日本も、解決策づくりに積極的に乗り出すべき時だと思う。
トランプ政権の功罪
イランの核開発問題を巡り、イスラエルとイラン双方が攻撃し合ったが、米トランプ大統領の仲介もあって、『12日間戦争』の停戦が実った(6月24日)。
トランプ政権はイランの核開発施設にマトを絞った攻撃で大きな戦果を挙げたと発表。軍事力の行使である。一方、イラン側は、「被害は軽微」と反論するなど、いまだ駆け引きは続くが、とりあえず停戦にこぎ着けられたのはトランプ政権の働きかけがあったからというのは事実。
一方で、米国の『力の行使』をめぐっては、様々な批判がある。何事も『理想』通りにはいかない。
地球全体の共生・共存というのは、はるか遠い『理想』かも知れないが、一歩一歩、『現実』的解決もしながら、『理想』に向かって行くべきということである。
『現世を忘れぬ久遠の理想』へ向かって、日本も努力すべき時だ。
先の大戦末期、広島と長崎に原爆を投下され、核の洗礼を受けた日本。その時経験した悲惨な『現実』を世界に伝え、共存・共生へ道を説き続けなければならないのが日本の宿命だ。
そのためにも、日本には『自立の道』が求められる。『国のカタチ』をどう構築していくか。日本の真価が問われている。