【経済産業省】次官に飯田氏同期の藤木氏 その他ポストは軒並み留任

経済産業省は7月1日付の幹部人事を発表した。2年間にわたり、計3人の経産相を支えた飯田祐二事務次官が退任。後任には、1988年入省の同期である藤木俊光経済産業政策局長が昇格する。一方、その他の主要ポストは、重要課題の継続性の観点から軒並み留任となった。

 次官級の松尾剛彦経済産業審議官と、荒井勝喜通商政策局長は留任が決まった。トランプ米政権の関税措置見直しに向けた日米協議は、節目とみられていた6月16日の日米首脳会談で合意に至らず、長期化も予想されている。通商分野の中核である2人には、引き続き対米協議に当たらせる。関税交渉では日本の主要な輸出品である自動車分野の取り扱いが焦点になっており、伊吹英明製造産業局長も留任する。 

 また、半導体分野などを担当する野原諭商務情報政策局長も続投する。在任期間は2021年10月の就任から既に3年半以上に及び、次世代半導体の国産化を目指すラピダス(東京)の支援などに取り組んできた。同社は27年の量産開始に向け、資金調達などで重要な局面を迎えている。年内には政府が1000億円を出資する予定で、野原氏が引き続き半導体分野のかじ取りを担うことになった。

 2月に新たなエネルギー基本計画を取りまとめた村瀬佳史資源エネルギー庁長官は、在任3年目に入る。政府は、首都圏への安定的な電力供給や電気料金抑制をにらみ、東京電力ホールディングス柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に全力を挙げる構え。地元との調整に当たってきた村瀬氏に、引き続き任に当たらせる考えだ。

 一方、藤木氏の後任の経済産業政策局長には畠山陽二郎資源エネルギー庁次長を起用した。畠山氏は92年の入省で、次官候補の筆頭局長ポストが一気に4年若返ることになる。

 関係者の間では「異例の留任ラッシュで人事は停滞気味だが、畠山氏が将来次官に就く時に一気に体制が刷新されるのでは」との見方が出ている。

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