Amazonは今年11月、一部の日本の顧客向けに生成AIを搭載した対話型ショッピングアシスタント「Rufus(ルーファス)」のベータ版の提供を開始している。「ブラックフライデー」セールでAmazonショッピングアプリを利用する際に、画面の右下にオレンジとブルーの吹き出しのようなアイコンを見つけて、気になった人も多いのではないか。それが「Rufus」の入り口なのだ。
「Rufus」はAmazonショッピングアプリで利用できる、「Amazon.co.jp」の商品とウェブ上の情報を学習した生成AIを搭載したショッピングアシスタント機能だ。顧客の購入意向、商品、比較に関する質問に回答し、それに伴うお薦めの商品を表示する。「Amazon.co.jp」での買い物の際に、商品を見つけやすくなるように顧客をサポートするという。
▲画面右下に「「Rufus」のアイコン
Amazonは顧客の買い物体験(カスタマーエクスペリエンス)の向上を目的に、25年以上にわたり幅広くAIを活用してきた。顧客1人ひとりに合わせて「Amazon.co.jp」で表示されるお薦め商品や、フルフィルメントセンターでの在庫管理の効率化、Alexaとの会話などは、AIの活用事例の一部に過ぎない。生成AIが、あらゆるカスタマーエクスペリエンスに変革をもたらすと考えている。
これまでもAmazonは、買い物をさらに手軽で便利なものとするため、生成AIを搭載した機能を導入してきた。生成AIを活用して、販売事業者様がさらに魅力的で効果的な商品名や説明文を作成したり、既存の商品情報をより充実させたりできるようサポートもしている。そして、生成AIを活用したカスタマーイノベーションを前進させる「Rufus」ベータ版の提供を日本でも開始した。
<具体的な使い方は?>
「スムージーを作るには何が必要?」といった買い物の始まりとなる大まかな調べものから、「トレッキングシューズとランニングシューズ、どちらを買うべき?」といった比較をする質問、「この商品の耐久性はどう?」といったさらに具体的な質問まで、顧客は普段の「Amazon.co.jp」での買い物体験とシームレスに一体化した「Rufus」ベータ版を使って、希望に合う商品を簡単に探し出せるようになる。
▲チャットで「スムージーを作るには何が必要?」と聞くとブレンダーやフルーツなどを紹介してくれる
「ヘッドホンの種類」「コーヒーマシンの種類」といった検索ワードを使って、「Amazon.co.jp」で大まかな商品検索を行うことで、買い物の参考になる有益な情報を得ることができる。
「登山に必要なものは?」「屋内庭園を造りたい」といった幅広い質問を通じて、やりたいこと、イベント、目的や他の具体的なニーズに応じて必要な商品を検索して探し出すことも可能だ。「Rufus」は、安全ベルト、登山用の靴や手袋、育苗ポット、ガーデニング用の土、植物育成ライトといった購入可能な商品を提案し、顧客がさらに詳しい検索を行えるように関連する質問を提示す。「Rufus」は幅広い質問に対応しており、「パンを焼くのに必要なものは?」など、一見すると商品の購入に関係のない一般的な質問なども含めて、顧客の買い物をサポートする。
▲「登山に必要なものは?」と聞くと選択肢を提示し、より詳しい検索に導く
<選択肢を比較することも可能>
「リップグロスとリップオイルはどう違う?」「電気カミソリの種類を比較して」といった質問をすると、同じカテゴリーに属する商品の特徴を手早く比較することができ、顧客は希望に一番合った商品タイプを選び、自信をもって購入できるという。
▲「トレッキングシューズとランニングシューズ、どちらを買うべき?」といった質問にも対応
<プレゼントにお薦めの商品も提案>
「先生に何をプレゼントすればいい?」「5歳児と雨の日に遊べるゲーム」などの質問をすると、顧客の希望に対応する商品をお薦めする。「Rufus」は具体的な質問に対応した回答ができるため、顧客はより絞り込まれた結果を手軽に確認できる。
▲「5歳時と雨の日に遊べるゲーム」と尋ねても応えてくれる
<商品詳細ページで商品について質問できる>
「レビューのまとめを見る」をタップすると、商品詳細ページに掲載されたカスタマーレビューの概要を簡単に確認できる。「このテニスラケットは初心者向け?」「このジャケットは洗濯機で洗える?」「このコードレスドリルは持ちやすい?」など、商品詳細ページを閲覧中にその商品に関する具体的な質問をすると、商品ページの詳細情報やカスタマーレビュー、カスタマーQ&Aをもとに、「Rufus」が回答する。
<顧客の声を生かし、さらなる改善へ>
生成AIはまだ初期段階であり、そのためAIによる回答が常に正しいとは限らず、また、質問によって回答できない場合もあるという。「Rufus」をさらに便利な機能にしていくため、AIモデルの改良と回答の改善や微調整を続けていく。顧客には、AIの回答に対する評価を「サムズアップ」または「サムズダウン」のボタンで知らせてもらいたいという。カスタマーサービスを通じて意見することも可能だ。
Amazonは生成AIの可能性に期待を寄せている。引き続き新機能のテストを重ね、顧客が「Amazon.co.jp」でより簡単に商品を見つけ、調べ、購入できるよう努めていくという。