<インタビュー>「グローバルサプライチェーンを可視化し、決済・追跡を自在に」インフォア キャス・ブレンジェンスInfor Nexus担当バイスプレジデント

世界的なERP(基幹情報システム)ソフトウェア企業であるインフォアでは、小売りや金融など、独自のサプライチェーンを持つ日本企業に対する、同社のサプライチェーン管理プラットフォーム「Infor Nexus(インフォア ネクサス)」の提案を強化している。同サービスは、年間6000万件以上のサプライチェーンの輸送を監視しており、年間900億ドル以上の決済を管理している。インフォアでアジア太平洋地域のInfor Nexus担当バイスプレジデントのキャス・ブレンジェンス氏に、「Infor Nexus」を導入するメリットについて聞いた。

<世界の輸送の9割を監視>

――「Infor Nexus」について聞きたい。

「Infor Nexus」は、サプライチェーンをつなげるデジタルエコシステムだ。商品の輸送や決済など、商品の流通の川上から川下までをすべて管理できる。「商品が工場からいつ出荷されたのか」「どの海運事業者の何という船の何番のコンテナで輸送中なのか」「どんな輸送計画なのか」などをリアルタイムでトレースできる。 

商品の輸送計画のやりとりも、システム上で管理できる。商品の輸送に関する、事業者間の発注書のやり取りも、「Infor Nexus」上で行うことができる。決済についても同様だ。

東南アジアで製造して日本国内で商品を流通させているような小売企業では、グローバルにサプライチェーンの仕組みを構築しているが、複雑化している。すべてデジタル上で管理し、シンプルにする必要がある。

近年では、商品の輸送中に事故が発生することも多分にある。事故が起きた場合、どの荷物にどれくらいの配送遅延が発生するかを、リアルタイムで分析できるようにしておく必要がある。

「Infor Nexus」は、1998年から、サプライチェーンのプラットフォームを展開してきた。現在、年間6000件のサプライチェーンの輸送を管理している。世界中の運送事業者の上位15社には、当社のプラットフォームと接続できる環境がある。大手が連携しているため、世界全体の船舶の積載量の95%を把握しているといえる。

「Infor Nexus」は、欧米ではかなり一般的なソリューションとなっているといえる。日本では今後、多くの小売企業を中心に、導入を提案していきたい。日本では、サプライチェーンの輸送や決済、その管理を自社で完結させているケースが多いが、モダンナイズする必要があることを訴えたい。

――「Infor Nexus」で解決できたトラブルの事例はあるか?

2021年にスエズ運河で大型船が座礁する事故が起きた。座礁した船だけでなく、前後で航行予定だった船にも大きな影響を与えた。「Infor Nexus」を使用していた荷主は、座礁した船や、前後の船に自社の荷物が積まれているかどうかを、すぐに確認することができた。

2024年3月には、米国東部のメリーランド州モルティモアで、コンテナ船が橋に衝突して、橋が崩落した事故があった。多くの船舶に積載された荷物の輸送計画に、大幅な遅れが生じた。「Infor Nexus」を使っていたことで、どの荷物にどんな影響があるかがすぐに把握できた荷主は多かった。

本件では、どのコンテナのどの荷物が、近くのどの港湾にいったん待機するかも把握できた。すぐに別の輸送手段を手配することができた荷主もあった。

▲インフォア キャス・ブレンジェンスInfor Nexus担当バイスプレジデント