世の中は「健康」ブームです。「健康経営」という言葉が当たり前のように使われるようになっていますが、健康は経営者にとっても本来の自分の持っている能力を最大限発揮し、会社のパフォーマンスを上げるためにも欠かせない要素です。
実際、女性を中心にダイエット講座を主宰している当社の受講生もコロナ禍前は30~40代が多かったのですが、コロナを機に60~70代が大きく増えました。これは男性にも見られる傾向です。それだけ予防医療という観点が重要視されているということではないでしょうか。
ダイエットと聞くと、大半の人は食事の量を減らしたり、中には絶食する方が多いように思いますが、これは決して好ましい方法ではありません。私たちの身体は水やたんぱく質、脂質などで構成されています。当たり前のこのことを皆さんはすっかり忘れてしまっているのです。
自分たちの身体を構成する食物を適切な量で摂取することが身体にとって最適な食事となります。したがって、自分で食事を選択する際の〝軸〟を持つことが減量に向けた第一歩となります。私はこの考え方に基づき、「食べるダイエット」という食事と習慣の2つの要素によって、本来の自分に戻していくというアプローチを提供しています。
様々な技術革新によって安くて美味しい簡便な食事が手軽に手に入る時代になりました。しかし、そのことは逆に食事と習慣のアンバランスを生み出すことにつながってしまいます。それぞれの食べ物にどのような栄養素が含まれているのか。それを踏まえた上での食事の工夫が求められているのです。
食事の改善だけで人生は好転する─。これが私のメソッドです。例えば、適正な量を測るといっても、毎回の食事時に計量カップなどで重さを量るような時間はありません。ですから、「拳1個分の分量」といった具合に常に分かりやすい目安を設けることを意識しています。
また、食卓を変えるということは、夫婦間のコミュニケーションを変えるといった副次的な作用もあります。特に女性はホルモンや生理などの影響もあって、時として苛立ったり、気分が優れないときが多々あります。
私がダイエットをお手伝いしたご夫婦は2人で30キロのダイエットに成功しました。すると、自然に夫婦喧嘩もなくなったそうです。食事をつくるのは基本的には妻である女性。その負担を軽減しながらも、互いに減量に成功したことで達成感を共有できたのではないでしょうか。
そもそも私がダイエットに取り組んだのは自分自身が苦しんだ経験があったからです。20代前半、がん患者のケアを行う看護師として病院に勤務。がむしゃらに働きましたが、救えない命もありました。ならば、病気にならない手助けをしたいと考え、海外留学で予防医療を学び、帰国後に保健師として食生活の指導を始めたのです。
実はこのとき、私自身もダイエットに悩んでいました。どれだけ努力しても理想の体型にはなれない日々が続いたのです。何度も失敗し、更には流産という厳しさを味わった中で導いたメソッドが「人は食べ物でできている」という考え方でした。最終的には、約1年で12キロの減量に成功することができました。
人間が生きるためには食事を摂らなければなりません。その食事が私たちの身体をつくっています。ですから、食事を摂っていない姿は仮の姿と言えるでしょう。本来の自分の姿を維持するためにも、適度・適切な食事を摂るという改善を続けていくことが求められているのです。