国土交通省は先端技術の導入によって離島の課題を解決する「スマートアイランド」を推進している。8月には産官学連携を促す新たな枠組みの設立シンポジウムが開かれ、条件が不利な離島地域こそ、新技術を積極的に導入する重要性を確認した。
同省は20年度からスマートアイランド事業を始め、遠隔医療や買い物支援など、多分野の実証を各地で展開。さらに新技術の実装や横展開を進めるため、今年5月にプラットフォームを設立した。課題を抱える自治体とその解決策を有する企業とのマッチングが柱で、約80自治体と約50の企業や団体が参画する。
シンポジウムでは、自治体が企業と連携した事例を紹介。
三重県鳥羽市はセコム医療システム(東京)と組み、本土と離島4島にある診療所を遠隔で結び、医師や看護師が島に不在でも対面と変わらないオンライン診療体制を構築した。
広島県大崎上島町は自動運航船を開発するエイトノット(堺市)と連携。夜間や早朝にフェリーの運航しない二次離島で、住民に日用品を届ける実証を展開。CEO(最高経営責任者)の木村裕人氏は「社会に貢献しながら事業成長につなげたい。これからも離島に寄り添う」と述べた。
藤田昌邦大臣官房審議官(国土政策局担当)は「離島は条件が不利だからこそDX(デジタルトランスフォーメーション)に対するニーズはとても大きい。この国のDX発展のシーズは離島にこそある」としている。