約8割が「新型コロナ5類移行へ期待」 STORESが中小企業の「店舗運営意識」を調査

STORESはこのほど、「STORES ネットショップ」および「STORES レジ」の利用者に対し、「新型コロナ5類引き下げにあたり、今後の店舗運営への意向と課題」についてアンケート調査を実施し、その結果を公開した。約8割が新型コロナ5類移行に期待を寄せており、今後の顧客アプローチとして「対面(実店舗・対面イベント)」を重視し、対面ならではの「体験の場の提供」のほか、「ネットショップ」や「自店のSNS」などオンラインへ誘導したいという意向も明らかになった。

STORESは、個人事業者から中規模企業まで、店舗を運営する事業者にむけて、ネットショップ開設・POSレジ・キャッシュレス決済・オンライン予約システム・店舗アプリ作成など、ショップのデジタル化を総合的に支援するサービスを展開。「STORES」の各サービスを組み合わせることで、より簡単に・より効率的に事業運営できる環境を提供し、成長をサポートしている。

このほど、「STORES ネットショップ」および「STORES レジ」の利用事業者を対象に、「新型コロナ5類引き下げ」と「今後の店舗運営」に関するアンケート調査を実施した。調査期間は2023年5月9日~5月15日で、有効回答数は284件。

「店舗運営にあたり、新型コロナ5類引き下げをどのように捉えていますか?」という問いでは、「大いに期待している」の回答が約19.4%、「どちらかといえば期待している」が約61.3%となり、店舗運営にあたり「新型コロナ5類引き下げ」への期待感が垣間見える結果となった。

「大いに期待している」「どちらかといえば期待している」と回答した事業者に、「最も期待していること」をたずねたところ、「売上の拡大・回復」が38.9%で最多となった。次いで「新規顧客の獲得」(23.6%)、「顧客とのコミュニケーションの活性化」(20.5%)となった。

「新型コロナ5類引き下げ以降、『顧客との接点づくり』として最も重視するもの」を尋ねた問いでは、「対面(実店舗もしくはイベント)」と回答した事業者が43.0%でもっとも多かった。

「対面(実店舗)を重視」と回答した理由では、「顧客が実際に手に取ったり見る経験を求めていると感じていたから」「通信販売は送料がかかるため、実店舗で販売した方が消費者にとってお財布に優しい」「SNSによるネット販売と店舗の相乗効果」などの回答があった。

一方「対面イベント(ポップアップ・催事出店)を重視」と回答した理由では、「イベントで新規顧客獲得をしたい」「実店舗に来れないお客様をネットショップへ誘導するのに、他地域への催事販売はとても有効であった」「対面で販売し信頼関係を作り、ネット購入に繋げたい」などの回答があったとし、「顧客へ体験の場の提供」や、対面で完結させず、顧客を「ネットショップや自店のSNSへ送客」するための足がかりとしたいという意向も見てとれたとしている。

「コロナ禍を経て、今後の店舗運営の課題」をたずねたところ、「集客・認知」と回答した事業者が57.7%でもっとも多く、次いで「売上・販路」が24.6%、「人材不足・業務効率化」が12.7%だった。

店舗運営の課題として「集客・認知」を選択した事業者を対象に、「もっとも優先して取り組むべき課題」をたずねたところ、「オンラインと対面の両軸での顧客接点の増加・強化」の回答が41.5%で最多となった。続く2位は、「オンライン(ネットショップ、SNSなど)での顧客接点の増加・強化」(38.4%)だった。

「課題に対して、対策や取り組みをしているか」という問いに対しては、「できている」の回答が約4割(「十分できている」1.8%、「ややできている」36.6%)、「できていない」が約6割(「あまりできていない」54.9%、「まったくできていない」6.7%)となった。

対策や取り組みが「十分できている」「ややできている」と回答した人の具体的な取り組みの例としては、「SNSでの情報発信」「メルマガ配信」「会員制コミュニティ向けの発信」などの積極的な情報発信のほか、「イートイン、テイクアウト、デリバリー、EC、冷凍自販機など多チャンネル販売」など、オムニチャネル展開が行われていることが示された

一方で、対策や取り組みが「まったくできていない」「あまりできていない」理由としては、「人手が足りないから」が32.7%でもっとも多く、「全ての業務を1人でおこなうため限界がある」など、1人当たりの業務負荷が課題に対する取り組みを阻んでいることが明らかとなったとしている。

今後の店舗運営の課題として「売上・販路」を選択した事業者を対象に、「もっとも優先して取り組むべき課題」をたずねたところ、38.6%が「オンライン販売の強化」と回答し、最多となりった。2位には「オンライン販売と対面販売の両軸の強化」(28.6%)が入り、街の人流回復後も「オンライン販売」への注力意向が継続していることが示された。

<データアナリスト「人の流れが大きく変わる」>

これらの結果を受け、STORESのデータアナリスト末重拓己氏は、新型コロナ5類引き下げに伴い、人の流れが今までとは大きく変わることが予想されるとし、オンライン・オフラインの両面で顧客と接点を持つことの多い『STORES』利用事業者のアンケート調査結果から読み取れた業種や事業規模別の特徴的な傾向を挙げた。

▲STORES データアナリスト 末重拓己氏

新型コロナ5類引き下げ以降、「顧客との接点づくり」において重視することを業種別にみると、食品業種では「対面(実店舗もしくはイベント)」を重視すると回答した事業者が約6割だった。一方、アパレル業種では、「対面」も重視されるなか、「オンライン(ネットショップ、SNSなど)」の回答が約3割と、引き続きオンライン接点も重視されていることが明らかになり、業種ごとにアフターコロナでの方針に違いが見られる結果となったとしている。

食品業種では、新型コロナ5類引き下げにともない、各地での「イベント開催」が増加する見込みだとし、「実際に商品を食べてもらい、自店を知ってもらう」といった新たな顧客接点への期待が現れたと予想されるとの見解を示した。

アパレル業種は、コロナ禍の巣ごもり需要を機にEC化率が伸び続けており、「ショールーミング」や「ウェブルーミング」など、オンラインとオフラインを行き来する購買行動が定着したことから、事業者が「オンライン」接点を強化し続ける必要性があると考えられるとしている。

次に、「今後の店舗運営課題」を年商5000万円以上と5000万円未満の事業者で分類してみると、年商5000万円以上の事業者では「集客・認知」「売上・販路」「人材不足・業務効率化」がおおむね3割ずつという結果になり、人流が戻ることで「集客」や「売上」のほか「人手が足りない」という課題を抱えている様子が見て取れるとした。一方、商規模が5000万円未満の事業者では、「集客・認知」を課題と捉えている事業者が6割超であり、オフラインでの人流回復後も引き続き「集客・認知」が大きな課題となっていることがうかがえるとの見解を示した。

オフライン活動の活発化に伴い、購買行動は多様化し、事業者にとってはオムニチャネル化する店舗運営の効率化が課題となっている。STORESでは、ネットショップと連動するPOSレジ「STORES レジ」を提供し、「実店舗とネットショップの商品・在庫・注文情報の一元管理」を通じて作業コストを削減し、中小事業者のスムーズなオムニチャネル展開を支援している。

また、小規模事業者の集客と認知の課題に対し、SNSではリーチできない新規顧客の集客効果が期待できる「Google で集客」機能を提供している。さらに「STORES ネットショップ」と無料で自動連携できるため、集客のための資金が限られる中小事業者にも貢献できるとの考えを示した。

STORESは、今後の店舗運営では、集客はもちろん、顧客情報も含めて「オンラインとオフラインを分断せず、いかに繋げていくか」が重要であるとし、中小事業者が新たな価値を創造できるよう、各種サービスを通して今後も店舗運営をサポートしていくとしている。