GMOメイクショップ、海外販売データから越境EC市場を分析 流通額・注文数とも1位はアメリカ

GMOインターネットグループのGMOメイクショップはこのほど、ECサイト構築SaaS「makeshop byGMO」の「海外販売機能」のデータを分析し、その結果を元にした「越境EC市場のトピック」を公開した。「海外販売機能」は開始1年で導入店舗数が8倍に増加。国別注文数はアメリカ、香港、台湾が上位となっている。

経済産業省によると、2019年の世界の越境EC市場規模は7800億USドルと推計されており、2026年には4兆8,200億USドルまで急拡大すると予測されている。GMOメイクショップは、加速する越境EC市場へ参入支援を強化するため、2022年3月に越境EC支援サービス「WorldShopping BIZ」を提供するジグザグ社と資本業務提携を行い、2022年4月より「makeshop byGMO」と「WorldShopping BIZ」を連携した「海外販売機能」をの提供を開始した。

このほど、「海外販売機能」のデータをもとに、2022年4月から現時点までの約1年間の越境ECの傾向を分析。集まったデータをもとにした「越境EC市場のトピック」として紹介し、今後も拡大が予測される越境EC市場の傾向を発信することで、EC事業者の越境ECへの参入を後押しするとしている。

トピックの1つ目には、「海外販売機能」の導入店舗数の増加を挙げた。サービス連携により導入が簡単なり、円安傾向や外国人観光客の受け入れ再開によるインバウンドの回復から越境ECへの期待が高まったことを受け、提供開始から1年で「海外販売機能」の導入店舗数は8倍に増加した。

「海外販売機能」の提供開始から約1年の2023年3月末時点での累計の流通額は、2億円を突破した。「海外販売機能」は、海外ユーザーからの注文をジグザグが代理購入する仕組みとなっており、海外向けの決済や配送、顧客対応の必要もなく、「makeshop byGMO」の管理画面から申し込みをするだけで越境ECを始めることができる。

国内でのEC運営費以外に追加の費用負担がなく、手軽に始められるにも関わらず、「海外販売機能」経由で月数十万円~100万円以上の売上をコンスタントに獲得できるショップも出てきいる。インバウンドの回復から、日本の商品に対する海外からの注目はこれまで以上に高まることが予測されるため、2023年はさらなる成長が期待できるとの考えを示した。

国別の注文数と流通額のデータを見ると、「海外販売機能」の提供開始当初となる2022年4月~5月のデータにおいて、注文数の上位は、1位がアメリカ、2位が香港、3位が台湾の順だった。流通額では、1位が香港、2位がアメリカ、3位が台湾だった。

一方、2022年4月~2023年3月の1年間のデータでは、流通額・注文数ともに1位がアメリカ、2位が香港、3位が台湾に変化した。

構成比では、流通額のうち35%、注文数のうち30%をアメリカが占める結果となり、続く円安傾向の影響もあり、アメリカからの注文数・流通額がともに1位になったことが読み取れるとしている。

「海外販売機能」における2023年4月の商品カテゴリ別ランキングでは、「ファッション・ブランド」が1位となり、全体の39.5%を占めた。次いで2位の「おもちゃ・ホビー・ゲーム」が13.3%、3位の「家電・AV機器・カメラ」が8.8%となっている。日本製の高級腕時計や、アニメやゲームの関連グッズなど、海外にも多くのファンがいる商品は継続的に売れている傾向がある。

一方、国内の流通額では「ファッション・ブランド」に並ぶほど売上が高い「フード・菓子」ジャンルは、海外経由のランキング下位となった。この背景には、海外に商品を発送するため、常温保存が可能で賞味期限にも余裕がある商品でなければならないという食品独自の事情から、「フード・菓子」ジャンルのショップにおける「海外販売機能」の導入数が少ないことが影響していると考えられるとしている。

GMOメイクショップでは、2022年4月の「海外販売機能」提供開始以降、越境EC支援を強化するため、ジグザグとの共催により両社の社長が登壇するセミナーを実施するなど、越境ECにおける集客・売上獲得方法といったノウハウの提供も行ってきた。共催セミナーは、これまでに計3回実施し、累計の参加申し込みは200名以上と海外市場への期待の高さがうかがえる。

自治体が越境EC支援に乗り出すケースも増えており、GMOメイクショップは、2023年5月より福岡市が募集を開始した「福岡市海外ECトライアル推進事業」にもパートナーとして参画した。

GMOメイクショップは、今後もEC事業者の売上拡大をサポートするため、引き続き越境ECセミナーの企画や、無料で越境ECを始められる「海外販売機能」の導入促進に取り組んでいく考えを示した。

【「海外販売機能」導入ショップの声】

・森美術館オンラインショップ

「森美術館オンラインショップ」は、ミュージアムショップの店頭で販売している多彩なラインナップの展覧会オリジナルグッズやアーティスト関連グッズなど、お求めやすい価格のアイテムからプレミアムなアイテムまで幅広いグッズを取り揃えています。

以前は、海外のお客様からのお問い合わせには個別に対応しておりましたが、お問い合わせが増えたことをきっかけに「海外販売機能」を導入いたしました。海外のお客様にスムーズにご購入いただけるようになり、様々な国のお客様からいただくお問い合わせにも対応をしてもらえるため、助かっています。また「海外販売機能」を利用されているお客様は、店舗に来店されるお客様と同様の国の方々であることも分かりました。特に、人気商品の再入荷などのタイミングで海外からの注文が増える傾向があり、継続的にご利用いただいています。

今後もオンラインショップの商品を通して、「森美術館」の展覧会で紹介している作家さんや作品が、より広く海外でも知っていただけるように、「海外販売機能」を活用していきたいと思います。