子会社・JX金属の上場を検討 事業構造の転換急ぐENEOS

水素・SAFなどの新たなエネルギー開発を

「ENEOSグループはエネルギートランジション(移行)に挑む。しっかり前を見て、明日の当たり前の実現に挑みたい」

 こう語るのは、ENEOSホールディングス(HD)社長の齊藤猛氏。

 ENEOS HDが2025年度を最終年度とする第3次中期経営計画を策定。エネルギーや素材の安定供給と、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)社会の実現の両立を目指すことを宣言した。

 骨子は既存事業の収益力強化、再エネや水素・SAF(持続可能な再生航空燃料)などの新たなエネルギー開発、そして、傘下のJX金属の上場準備など経営基盤の強化。JX金属の上場時期は未定としながらも、上場で得た資金を再エネなどの成長事業の育成に振り向けることが狙いだ。

 2023年3月期の連結売上高15兆円、ガソリン販売で国内シェアの5割を占めるENEOSグループ。石油元売り最大手だが、同社を取り巻く経営環境は厳しい。

 近年は人口減少や世界的な脱炭素化の流れに伴うガソリン車からEV(電気自動車)へのシフトなどで、石油の需要が減少すると予想される。このため、同社は再エネ開発や、2030年までの水素サプライチェーン(供給網)構築、2027年を目途にバイオ燃料や合成燃料を混合した低炭素ハイオクガソリンの供給などに取り組む考え。

「トランジションへの投資は短期的に利益が出てくるものではない。収益基盤のさらなる向上をやりながら、開花期まで頑張るしかない」と語る齊藤氏。

 化石燃料からのエネルギー転換期にあって、生き残りをかけた事業構造の転換を急ぐ同社である。

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