【厚生労働省】介護保険の被保険者証 マイナカードと一体化へ議論

厚生労働省の老健局は、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の介護保険部会で、介護保険の被保険者証をマイナンバーカードと一体化する案を示した。2023年度中に具体的な方策をまとめ、25年度にも一部自治体で先行導入したい考えだ。

 政府は24年秋に、健康保険証とマイナカードを一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を打ち出している。健康保険証以外にも、運転免許証や障害者手帳などさまざまな証明書を一体化する計画で、介護保険証もその一つとされていた。老健局中堅は「デジタル庁からいつもハッパを掛けられている」と漏らす。

 一方、同局の別の中堅は「健康保険証や運転免許証の一体化は、明らかにカード取得を促すための手段だが、介護保険証は違う」と説明。介護保険証は、年齢問わず日常的に使う健康保険証や運転免許証と比べ、介護サービスの利用手続きの際に自治体や事業者に提示するなど、使用する機会が限られていることから、一体化がカード取得を促す訳ではないという。

 現行の介護保険証は紙ベースで、被保険者が65歳になると自治体から自動的に送付される。しかし、いざ介護が必要になる70、80代になる頃には、紛失して再発行の手間がかかるケースが少なくない。一体化すればこうした事態が防げる他、手続きのため利用者や家族が自治体に出向かずに済む環境整備も進む。

 マイナ保険証は昨年、デジタル庁の河野太郎担当相が健康保険証の廃止時期を発表した際、世論が大きく反発した経緯がある。老健局はこうした二の舞を演じないよう、神経を尖らせているようだ。

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