【ECモール 2023の展望】『Shopee』村松俊和マーケティングリード「販促・物流・サポートなどの支援体制強化」

【ECソリューションマップ2023「モール&プラットフォーム編」】

東南アジアや台湾の大手ECモールを運営するShopee(ショッピー)の日本法人であるショッピージャパンは、2022年12月に佐川急便と運送業務契約を締結するなど、事業者がより海外へ販売しやすい体制を整えている。東南アジアの中でもベトナムやマレーシアは、急速な人口増加やテクノロジーの発達などにより、将来的に米国や中国向けの越境EC市場に並ぶ規模になる可能性があるといわれている。ショッピージャパンの村松俊和マーケティングリードに、「Shopee」の利用状況や現在注力していることなどを聞いた。

――2022年の「Shopee」の利用状況などを振り返ってもらいたい。

振り返ると、市場が拡大したと感じている。「Shopee」の変化を見ると、多くの日本の出店企業は新規顧客を獲得できたようだ。当社が独自に行っている「Shopee」の「11・11(ダブルイレブン、独身の日)」セールでは、日本の越境セラー(出店者)の商品販売件数が、通常期の平均と比較して約10倍に増加した。

日本の越境商品を購入した人のうち、2人に1人が初めて購入したことも分かり、確実に日本商品の認知度は拡大している。

新規顧客の獲得だけではなく、2022年は「Shopee」というブランドも日本国内の越境EC業界において認知度が向上した。さらに多くの日本の企業が「Shopee」で東南アジア・台湾に販路拡大を検討している。

――なぜ2022年に日本商品のシェアが急拡大したのか?

さまざまな理由があると考えている。一つ目は2022年の夏頃から、日本への旅行規制が緩和され、日本を訪れた人が自国に帰り、越境ECサイトで商品を購入していることが大きいだろう。実際に「11・11」のデータを見ても、「土産品」の購入が目立つ。

「旅行先で土産品を購入すると、手荷物になるため、後日、越境ECサイトで購入しよう」という人が多かったと予測している。

二つ目は円安などの影響で、多くの日本EC事業者が海外市場に目を向けているからだ。データを振り返ってみても、2022年は日本EC事業者の「Shopee」への参加割合が増えた。

今までだと、他社の越境ECサイトで販売実績がある人が、「Shopee」に流れてくることが多かった。だが、

2022年は越境EC未経験の国内大手・中堅事業者がこぞって「Shopee」を利用してくれた。

――出店者を増やせた理由は?

セラー向けのサポート体制の強化とマーケティングソリューション部門を新設したからだ。

越境ECはまだ日本のEC事業者に浸透しているとは思っていない。そのため、配送方法や出店手続きなどのセラーサポートは必須だ。2022年はセラーサポート体制の強化を行い、出店者からの疑問解消に注力した。

マーケティングソリューション部門はいわゆる販促専門部隊だ。「Shopee」で売れるには、まずはリスティング広告の出稿など、”勝ち”の法則がある。それを伝えるため、専門部署を設立した。

――2022年12月には佐川急便と運送業務契約を締結した。狙いは?

運送業務契約締結の狙いは、「Shopee Logistics Service(SLS)」と呼ばれる「Shopee」独自の物流サービスと佐川急便の知見やネットワークを組み合わせることによって、日本出店者により手軽に効率よく東南アジア・台湾に商品を届けられる仕組みを提供するためだ。

国内の事業者の多くは、未だオンライン販売を通じた国際物流の経験が少なく、越境ECを始めるにあたって、現地の消費者に商品を届けるための物流戦略が課題になるケースが散見されてきた。

日本から出荷して、どこでバーコードがスキャンされているのか、遅延しているなら、なぜ遅延しているかが分からないことがある。

日本から遠くなればなるほど状況の把握は難しい。この課題を解決するため、佐川急便と運送業務契約を締結し、日本でのSLSの提供を開始した。