習慣化プラットフォーム「Smart Habit」のWizWe、総額5.4億円を調達 ウェルビーイング領域へ本格進出

習慣化プラットフォーム「Smart Habit」を開発・運営するWizWe(ウィズウィー)は2月7日、エムスリー、サントリーホールディングスなどからの第三者割当増資により、総額5.4億円の資金調達を実施した。調達した資金は、Support as a Service(SaaS)事業の成長加速、ヘルスケア事業の未病予防領域の習慣化、ウェルビーイング事業など複数領域における習慣化の価値観創出に活用する。

WizWeは、学習や運動の行動習慣化をサポートするためのプラットフォーム「Smart Habit」を運営。リアルなサポーターの伴走と自動化されたプログラムを組み合わせ、低価格で行動習慣を実現する。2018年のサービス開始以来、ユーザー数は順調に推移し、現在では累計3万人の顧客をサポートしている。

語学など教育分野の学習習慣化で多くの大手企業に導入され、学習完了率80%以上の実績を上げてきた。2021年からは、そのノウハウの横展開をスタート。顧客のチャーン防止・LTV向上を支援するサブスク事業者向けサービス「Smart Habit LTV」や、ヘルスケア業界の習慣化をサポートする「Smart Habit Healthcare」をローンチし、フィットネスおよびヘルスケア領域にサービスを拡大した。2022年1月には、サントリーホールディングスが資本参加し、ウェルビーイング領域での習慣化実現に取り組んでいる。

諸外国に先立ち超高齢化社会に突入している日本では、、高齢者率は年々増加し、2040年には日本の全人口の38%が65歳以上となる見通しだ。同年には、医療・介護費は100兆円を越え、国民医療費のさらなる膨張が予測されている。一方で人生100年時代と言われるように、平均寿命は今後も延伸すると見込まれており、これまで「老後」と呼ばれた期間がどんどん長くなることが予想れるとし、WizWeでは、病気や寝たきりにならず、いかに長く健康でいられるかが今後の社会課題解決のみならず、個人・社会のウェルビーイングの実現につながると考え、今まで蓄積した習慣化のノウハウを展開し、超高齢社会がもたらす社会課題に貢献することを目指している。

アメリカの世論調査研究所、ギャラップ社が提示するウェルビーイングを構成する5つの要素によると、人はいくつになっても学習を続け、キャリアを持ち、人間関係に恵まれ、経済的に困っておらず、適度な運動や睡眠・食習慣で体が健康で、コミュニティに属していることが重要であるとし、「Smart Habit」が習慣化できる複数の領域で、こうしたウェルビーイングの実現を目指すとしている。

このほど、エムスリー、サントリーホールディングス、モバイル・インターネットキャピタル、ダイレクトマーケティングミックス、フュージョン、AIX Tech Venturesほかからの第三者割当増資により、総額5.4億円の資金調達を実施した。

今回調達した資金は、Support as a Service(SaaS)事業の成長加速および、エムスリーとの連携によるヘルスケア事業の未病予防領域の習慣化、サントリーホールディングスとのウェルビーイング事業および健康経営(従業員の健康管理)における協業など、複数領域における習慣化の価値創出のために活用するとしている。今回の調達を通じて「Smart Habit」の対象領域を拡大し、習慣化の価値提供を進めていく考えを示した。

ヘルスケア事業の未病予防領域の習慣化や、ウェルビーイング事業および健康経営の展開のみならず、サブスク事業者向けの消費定着支援(化粧品や食事宅配など定期購入の離脱防止・LTV向上)のさらなる強化、マーケティングなどのコミュニケーション領域など、複数領域の連携による習慣化のネットワークを通じて、個人と社会全体におけるウェルビーイングの実現を目指す。

▲WizWe 森谷幸平CEO

今回の資金調達にあたり、WizWe 代表取締役CEO 森谷幸平氏は、「私が習慣化事業の着想を得たのは2010年。学習の継続における伴走者の持つパワーに魅了されました。10年の歳月をかけ、『Smart Habit』という『ソフトウェア×Human』のサービスを世に出すことができました。今回、行動変容のプラットフォームであり各種事業者様の黒衣(クロコ)という我々の哲学や、『Smart Habit』のヘルスケア領域やLTV領域での拡張を評価いただき、多くの事業会社様および投資家様からご支援をいただきました。我々は、今回の資金調達とコラボレーションを通じ、更にプロダクト、フレームワーク、組織を磨き上げていきます。そして、将来、習慣化の仕組みを開放することで『自律自走・習慣化の輪』が自己増殖する未来を創って参ります。1人ひとりのユーザー様に寄り添い、1人でも多くの『ありたい姿』に貢献できるよう、皆で事業に打ち込んで参ります」とコメントした。

【投資家コメント】

・エムスリー 事業開発グループ ディレクター CVCチーム チームリーダー 近藤一行氏

当社は、1人1円ファンドを通じて、ヘルスケア領域を中心とした社会課題の解決に取り組むベンチャー企業の支援に取り組んでおります。習慣化という普遍的なテーマに対し、ユニークなプラットフォームを構築し、高い付加価値を提供されている点を高く評価し、この度、出資をさせて頂きました。ヘルスケア領域での協業を推進することで、当社の目指す「健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」を共に実現できればと考えております。

・サントリーホールディングス 未来事業開発部部長 青木幹夫氏

2022年1月に出資後、WizWe社とSUIMIN社と共同で、睡眠領域での「ウエルビーイング向上プログラム」の開発に取り組んできました。2022年8月には、同プログラムをサントリー社内で実証、参加者から高い評価を得ました。今後、サントリー社外にも展開を予定し、改良を進めています。本協業を通じて、同社の習慣化の支援に関するノウハウの有効性を改めて確認でき、WizWe社の更なる成長の可能性を見出すことができました。今回、WizWe社との協業・つながりをより強固なものとし、同社の成長加速を支援する観点から、追加出資を決定しました。ウエルビーイング領域での新価値創出に向けてWizWe社との取り組みを加速していきます。

・モバイル・インターネットキャピタル チーフインベストメントオフィサー/マネージングパートナー 元木新氏

2021年7月の前回ラウンドに続き、追加投資させていただきました。コロナ禍を経て、人は様々な行動変容を起こしました。そのような環境下で、WizWeは「行動変容を促す習慣化プラットフォーム」としての可能性を拓いています。多くの事業会社様・CVC様にもご参画いただけることになり、今後の更なる事業成長を期待しております。

・ダイレクトマーケティングミックス 代表執行役社長CEO 小林祐樹氏

WizWe社は、「メンター付き習慣化プラットフォーム」の開発・運営を通じて、これまで多くの人々の行動変容、「三日坊主」解消に貢献されてきました。行動データの蓄積及びその分析を通じて、習慣化プラットフォームは日々進化しており、クライアントからの引き合いも増加している状況と聞いております。弊社は、弊社が長年蓄積したカスタマーサクセスに関する知見や弊社が抱える豊富なカスタマーサクセス人材の提供などを通じて、WizWe社の更なる成長に貢献したいと考えております。

・フュージョン 代表取締役社長 佐々木卓也氏

WizWe様の持つ習慣化促進による課題解決力に、当社の展開する伴走型マーケティング支援事業を組み合わせることで大きな価値創造が出来ます。企業とその顧客の間の距離を縮めるための協業が楽しみです。

・AIX Tech Ventures 代表取締役社長 上杉秀人氏

「三日坊主」という普遍的な課題を、WizWe社がテックタッチとハイタッチを組み合わせた高度なソリューションで解決していることは、社会に対して大きな価値を持つと感じています。そのソリューションに、当社AI CROSSグループが培ってきたショートメッセージ(SMS)の配信技術やノウハウを提供し、習慣化を支援していければと考えております。