【ECソリューションマップ2023「モール&プラットフォーム編」】
NTTドコモとオールアバウトライフマーケティング(AALM)が共同運営するECモール「dショッピング」は、2022年の流通総額において前年比20%増のペースで成長したという。選ばれた店舗しか出店できないプレミアムモールだが、モールの流通規模拡大に合わせて、出店誘致を強化したことで出店企業数は1年間で約2倍増となった。「ドコモ経済圏」とのシナジー創出の成果や店舗・商品拡充の戦略について、AALMの土門裕之社長に聞いた。
――「dショッピング」の2022年の実績は?
2022年の流通総額は今のところ(2022年12月末に取材)、前年比20%増で進捗している。引き続き、品ぞろえ強化するために、出店者を拡大している。店舗数は月にならすと10社ぐらいずつ増えているので、1年間で120社くらい増えている。1年間で倍増した。
利用者を増やすためには、「ドコモ経済圏」との連携を強化している。2022年上半期にテレビCMもかなり展開していた「dカード」と連携した決済基盤の強化も実施している。
2022年度の前半戦は、基礎的要件を整えることに集中してきた。後半には、もともと計画していたふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税百選」を2022年10月末に「dショッピング」内に立ち上げた。開設して間もないが、短期間で成果も出ている。
▲オールアバウトライフマーケティング 土門裕之社長
――どの商品カテゴリーの流通総額が伸びているのか?
食品・グルメや家電系のシェアは引き続き高い。今期はアウトドア・スポーツの需要が伸びている。前年と比較した伸長率は79%増のペースで来ている。これまであまり着手していなかったコミック類の販売も強化したことで、こちらも前年比70%増くらい伸びている。コロナ禍で需要が高まったカテゴリーの品ぞろえを強化したことが奏功した。
一方、コロナ禍もある程度落ち着き、人流が一部では戻ってきていることもあり、ファッション・雑貨類が大きく伸びている。このカテゴリーは前年比3.6倍くらい拡大した。
――どのカテゴリーの出店者や商品を強化したのか?
需要が高い食品・グルメ系は、専門店の出店を強化している。例えば米菓のもち吉さんが出店したことで、煎餅カテゴリーの売上高が前年比3.3倍くらい引き上がった。梅干しカテゴリーも梅の丸長 マルチョウフーズさんが出店したことで、売上高が大きく引き上げられている。食品・グルメでも品種を絞っていくと、まだまだ足りないカテゴリーがある。より細かく丁寧に広げていきたい。
小物系やスポーツ系などのカテゴリーは、まだまだ全体の市場と比較すると弱いと思っている。有力店舗をまだ誘致できていないカテゴリーもポテンシャルがあると思う。まだまだ品ぞろえが弱いカテゴリーはあるので、しっかり強化していきたい。
――「ドコモ経済圏」とのシナジーはどのように強化してきたのか?
NTTドコモの携帯電話利用者の中でも、まだ「ⅾショッピング」をご活用いただいていない方がいる。そういった層への集客接点を持つという意味でも「dカード」との連携を強化した。
「dカード」利用者のポイント獲得倍率が上がる日を設定し、利用促進を図っている。「dカード」利用者向けのお得なサービスがあることをしっかりと伝えることで、良い反響を得ている。「ふるさと納税百選」でも「dカード」を利用すればベースのポイントが3倍付くようにしている。
――「dポイント」を消費する場としてのアピールを強化しているのか?
「ドコモ経済圏」から集客することだけを考えるのではなく、「dショッピング」利用者に「dカード」や「dポイント」の魅力をしっかりと伝え、「ドコモ経済圏」に貢献したいと考えている。
最近はQR決済が進化し、お客さまの利用シーンが拡大している。ポイントを使う場所としてのモールの価値にとどまらず、ポイントがたまる場としての価値を高め、アピールに注力している。
▲オールアバウトライフマーケティング 土門裕之社長
――「ふるさと納税百選」の出足が好調だった要因は?
ドコモユーザーならではのお得さをうまく訴求できた。さまざまなふるさと納税サービスが立ち上がっているので、自治体さんも慎重になっていると思うが、「ふるさと納税百選」は初年度からだいぶ動くねと好評価をいただけていると思う。
――出店者向けの運営支援で強化した点は?
出店者からするとCMSなど管理ツール類が使いやすいかどうかが気になるところだと思う。管理ツールも強化していっているが、後発参入でもあるので、網羅的に全方位をカバーしようとすると、パフォーマンスを発揮できなくなる。
出店者のニーズが高いところから強化を進めている。特に販促面では、これまで当社側のスタッフと連携して販促施策を実行する必要があったが、出店者が自ら設定して広告を配信できる機能を実装した。出店者が自らのタイミングや工夫によって販促を強化できる環境を整えた点は好評を得ている。