【農林水産省】年末に生乳廃棄の恐れも  物価高など「楽観できず」

2022年も学校が冬休みに入り給食が無い年末年始に向け、生乳を大量廃棄する恐れが出てきた。物価高で節約志向が広がる中、牛乳・乳製品は値上げされた。訪日客復活による需要回復への期待は、第8波が懸念されるコロナ再拡大で水を差す可能性がある。全国の酪農団体などでつくるJミルク(東京)は「去年より楽観視できる状況ではない」と警戒感を強める。

 Jミルクによると、2022年度の生乳生産量は前年度比0.5%増の768万7千㌧。4年連続で拡大する見通しだ。

 生乳生産をめぐっては、14年ごろのバター不足解消へ、酪農業界は生産基盤を増強してきた経緯がある。効果が出てきた頃に、コロナ禍による外食産業の停滞や学校給食の停止などが重なり、昨年末は5千㌧の廃棄懸念が生じた。

 年度当初から、生乳の家庭内消費は前年度を下回る低調な傾向が続く。エネルギーや輸入飼料の価格高騰による生産コスト上昇で、11月以降の生乳価格は改定。乳業大手は家庭用の牛乳・乳製品を一斉に値上げした。

 Jミルクはこれにより、11月~23年3月の牛乳類の需要が4%減ると試算。物価高による多くの食料品値上げが家計への負担となる中、乳製品の値上げは消費者心理に影響を与えかねない。

 国内生産量の5割超を占める北海道では、生乳余りを回避するため、生産抑制を実施。搾乳量の乏しい乳牛は搾乳対象から外すなど、生産基盤縮小に自主的に取り組む。農林水産省は22年度第2次補正予算案で対策費を確保し、この取り組みを後押しする方針だ。

 国際相場の高騰にウクライナ問題が重なり、物価高による生産コスト上昇が、酪農経営を圧迫している。更なる借金を重ねるなら離農を選ぶ高齢の酪農家も出ていると言い、野村哲郎農林水産相は「何らか(支援を)考えないといけない」と対策の必要性に言及した。