今冬も全国で節電要請 綱渡りの電力需給続く

東電の販売子会社は 調達コストの上昇で債務超過に

 経済産業省は、今冬の電力需給対策として、全国の家庭や企業に「無理のない範囲での節電」を要請する方針だ。今夏に続く措置で、全国規模での冬の節電要請は2015年度以来、7年ぶり。老朽化した火力発電所の運転に依存する綱渡りの状況が続くため、安定供給は「依然として厳しい見通し」(西村康稔経産相)としている。 

 最新の冬の電力需給見通しによると、ピーク需要に対する電力の供給余力を示す予備率は、最も厳しい1月の東京と東北の2電力管内で4・1%と、6月時点の1・5%から改善。安定供給に最低限必要な3%は全国すべての地域で確保できる見通しだ。 

 政府は今冬に最大9基の原発稼働を想定。さらに、休止中の火力発電所の運転再開により、東日本で78万㌔㍗、西日本で186万㌔㍗の追加供給力を確保したのが寄与する。 

 ただ、老朽火力の再稼働は、古い設備にトラブルが頻発するリスクを抱える。ロシアのウクライナ侵攻を受け、発電用の液化天然ガス(LNG)の安定調達も懸念されるため、節電要請に踏み切ることになった。 

 今冬を乗り切っても、来夏の電力需給見通しも厳しい。政府は来夏以降に追加で7基の原発再稼働を目指すが、このうち首都圏の電力不足の解消のカギを握るのが、東電の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)。 

「お客様に一層のご負担をお願いすることは、当社としても大変心苦しい決断」(秋本展秀・東京電力エナジーパートナー=東電EP社長) 

 来年4月から法人向けの標準料金を12~14%値上げする東電だが、柏崎刈羽7号機が来年7月に再稼働しなければ、2千億円分の収支改善が見込めないため、更なる値上げも示唆する。東電EPは燃料調達コストが上昇したことで、6月末時点で債務超過に陥っており、財務基盤の強化は喫緊の課題だ。 

 だが、その柏崎刈羽原発は、再稼働に不可欠な地元同意がまだ得られていない。岸田文雄首相は「国が前面に立ってあらゆる対応をとる」と表明したが、「最後は首相が地元で頭を下げるくらいしないといけない」(電力業界関係者)との声が漏れる。

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