国立天文台(NAOJ)と東京大学(東大)は9月30日、原始惑星系円盤のガス成分の獲得によって形成される大気とマグマオーシャンとの反応で生成される水に着目して新しい惑星形成モデルを独自に開発し、改めて系外惑星の持つ海水量を理論的に予測した結果、赤色矮星(M型星)の周囲において、地球程度の半径と日射量を持つ惑星のうち数%が適度な海水量を有していると見積もることができたと発表した。

同成果は、東大大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻の木村真博大学院生、NAOJ 科学研究部の生駒大洋教授の2名によるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の天文学術誌「Nature Astronomy」に掲載された。

正式に確認された系外惑星はすでに5000個を越えているが、その大きさや成分、中心星からの距離、日射量などについては実にさまざまである。そうした中、現在は観測精度が上がったため、地球サイズやもう少し大きめのスーパーアースなど、小さめの惑星も発見されるようになってきた。それらの中に、地球のような温暖な気候を持つハビタブル惑星があるかどうか、そしてそこに(知的)生命体が存在しているのかどうかは、多くの人の関心を集めている。

地球型の生命体が誕生して進化するには、温暖な環境が長期間安定して維持されることが必要と考えられている。惑星が温暖な気候を維持するためには、恒星から受ける日射量が適度であることに加えて、海水も適量であることが必要とされている。もし海水量が地球の数十倍以上と多くなり過ぎると、炭素循環(地球の環境維持に重要な要素の1つ)が制限され、極端に熱い、もしくは寒冷な気候になってしまう可能性があるという。

地球は、水を含む岩石や氷天体が多量に飛来したことで現在のような海を獲得したとする考えが有力視されている。この考え方を、M型星を巡る系外惑星に適用した過去の研究では、適度な水量を持つ惑星は非常に稀と予測された。M型星は今後のハビタブル惑星探査の主な対象となっているが、地球のような温暖な気候を持つ惑星が発見される可能性は極めて低いという、ネガティブな示唆が得られていたのだという。

それに対し、別の水獲得過程として、惑星の形成期に惑星自身が水を生成する過程と条件を提案したのが、NAOJの生駒教授らの研究チームだという。一般に惑星は原始惑星系円盤の中で成長するため、その円盤に多量に存在する水素ガスを重力的に獲得し、水素を主成分とする原始大気が形成されると考えられる。また形成途中の惑星の地表面は、天体衝突などによる熱でほぼ全面的に熔融したマグマオーシャンの状態にある。

このとき、原始大気中の水素ガスとマグマに含まれる酸化物が化学反応することで、水が生成されるとするのが生駒教授らの説であり、この効果を考慮すると、従来の理論モデルよりも水に富んだ惑星が形成される可能性があるという。

惑星が獲得する含水岩石の量や水生成反応から得られる水量は、惑星形成過程に大きく左右される。そこで研究チームは今回、太陽系外の海惑星の存在頻度を改めて求めるため、新たなモデルを開発することにしたという。

  • 形成期の岩石惑星において、原始大気とマグマオーシャンとの反応で水(水蒸気)が生成される状態のイメージ図

    形成期の岩石惑星において、原始大気とマグマオーシャンとの反応で水(水蒸気)が生成される状態のイメージ図 (C)木村真博 (出所:NAOJ Webサイト)