携帯事業で正念場の楽天 ネット銀行の上場も見通せず

携帯事業参入後初めて契約者数減少  楽天(三木谷浩史会長兼社長)の経営が正念場を迎えている。

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 新規参入した携帯電話事業で基地局整備など設備投資が嵩み、大幅な赤字決算と財務状況の悪化に見舞われているためだ。

 携帯事業の収支改善を図るため、これまで契約獲得の目玉だった「料金ゼロ円プラン」を7月に廃止したが、ユーザー離れを招く悪循環に陥っている。大手3社の寡占化となっていた携帯市場に風穴を開ける「第4のキャリア」として応援していたという菅義偉氏が昨秋に首相を退陣した中、総務省にも一時のように楽天を後押しする雰囲気はない。「四面楚歌」とも言える苦境からどう巻き返すのか。

「優良ユーザーに入れ替えて成長していく」。8月10日に楽天グループが開いた2022年1―6月期決算記者会見。三木谷氏は傘下の楽天モバイルの6月時点の携帯契約数が4月に比べて20万件以上減った逆風下でも強気の姿勢を崩さなかった。

 だが、契約数の減少は20年4月に自前の回線で携帯事業に本格参入してから初めてで、新規参入キャリアとして大きな痛手。

 ただ、楽天は財務体質の改善を優先せざるを得ない状況。1―6月期の携帯事業の営業損失は2600億円近くに上り、楽天グループ全体の最終損益は1800億円近い赤字に沈んだ。

 資金確保に向けて計画する傘下の楽天銀行の新規株式公開もウクライナ危機や米国の金融引き締めによる市場の混乱で上場時期を見通せなくなっている。

 価格競争に頼った消耗戦をいつまでも続けては経営体力に勝る大手3社に太刀打ちできなくなる。果たして楽天に契約者を引き留め、再拡大するための秘策はあるのか。業界ではメタバース時代をにらんだ3D機器・サービスの投入なども取り沙汰されており、三木谷氏の巻き返し戦略が注目されている。