【農林水産省】農業基本法が24年改正へ  「国産化」推進で大規模予算

農林水産省は、農政の基本方針を定めた「食料・農業・農村基本法」を改正する方向で調整に入った。24年の通常国会への改正案提出を目標とする。ロシアのウクライナ侵攻で揺らぐ食料安全保障を抜本的に強化することが狙い。食料の国産化推進に向けては、中長期的に大規模な予算投入を目指す。

 基本法は1999年の制定後、一度も改正されず今日に到る。「農政の憲法」とも呼ばれることから、農水省は見直しに慎重な姿勢を貫いていた。ただ、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻など制定時に想定していなかった事態が発生し、食料の供給不安が顕在化したため、輸入を前提とした現在の体制転換が必要と判断した。

 日本のカロリーベースの食料自給率(21年度)は38%と、先進7カ国(G7)で最低水準にあり、残りの62%は米国や豪州などに依存している。災害や紛争が発生すれば、安定的な食料供給がままならない脆弱な体制と言える。

 基本法見直しの焦点は、食生活に欠かせない大豆と麦の自給率向上だ。自給率は大豆が7%、小麦が17%と、主食であるにもかかわらず低空飛行が続く。野村哲郎農水相は「(大豆と小麦の自給率を)どう引き上げていくかが食料安保の一つの大きなテーマだ」と指摘する。

 政府・与党は、秋にも編成が見込まれる22年度第2次補正予算をにらみ、食料の増産を強力に推し進めるため、2000億円規模の食料安保予算の獲得を目指す考え。環太平洋パートナーシップ連携協定(TPP)を巡る農業対策予算を毎年補正に盛り込んでいるのと同じように、食料安保予算も中長期にわたって計上する構想を描く。

 ただ、農地面積に限りがある上、生産者の高齢化が進む中、すべての食料を国産で賄うのは難しい。このため食料安保予算を活用し、安定的に輸入ができるよう民間企業を支援するほか、備蓄の拡充なども検討し、平時からの備えを強化する。

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