【データに見る「ECの地殻変動」】<第6回>EC市場調査から見える次の一手!いち早く2022年の市場規模予測

経済産業省は8月12日、「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」をリリースした。2021年の物販系BtoC‐EC市場規模は13兆2865億円、前年比8.61%増、EC化率は8.78%。若干強めの結果に思えるが、おおむね想定通り。毎回、この報告書にはECに関する数字が盛りだくさん。あれこれと考えが駆け巡り始め、元担当として血が騒ぐ。まあ細かな数字は脇に置き、今回の結果を踏まえ大局的な目線でEC市場を捉えてみたい。

まずはこの5年間の振り返り。2016~2021年の年平均成長率を計算したところ10.67%と2桁をキープ。ただしこれは市場規模全体での値。カテゴリー別でこれを超えるのは「食品・飲料・酒類(11.68%)」「生活家電・AV機器・PC等(11.48%)」「雑貨・家具・インテリア(11.00%)」の3つ。見ればどれも巣ごもり消費の影響が大きいものばかりだ。逆に低いのは「衣類、服装雑貨等(9.68%)」。コロナのインパクトをあらためて感じる。

<2022年の伸長率を予測>

今後の見通しはどうか。直近5年平均成長率は10.67%だが、これはコロナ特需があってのこと。この影響を独自の計算で取り除いたら8.27%となった。2011~2016年は11.67%なのでEC市場は徐々に成熟化している。

筆者は早速、2022年の伸長率を試算しているが今のところ5~6%程度と見ている。今年は過去2年の反動が大きいとのEC事業者の声も聞く。状況を総合的に勘案すれば今後5年間は最大でも年5%程度で推移するのではないか。

これで計算すると2026年は約17兆円。成熟化に向かっており、EC化率は他国より低いままだが、それでも比類なき巨大な市場だ。

<今こそ越境ECに進出を>

以上は国内の話。越境ECはどうだろう。報告書では日本から中国向け越境ECが2兆1382億円と初めて2兆円を突破。中国の陰で目立たないが米国向けも1兆2224億円と大きい。

おのおのの2016~2021年の年平均成長率は15.58%と14.71%。越境ECは引き続き力強い。だが全世界に目を向けると、越境ECでは中国からの購入比率が高い国が多く、特に欧州でその傾向が強い。経産省の数字を見ると、あたかも日本製品が越境ECで全世界に売れている感覚に陥るがそれは錯覚だ。

でも指をくわえて見ているわけにもいかないだろう。現在、円安が日本経済を直撃しているが越境ECにとっては追い風。円安のうちに越境ECの仕組み作りを強化しておく策は有効だと思う。

今は中華圏や米国が販売先の中心だがこれからはASEAN諸国にも注目したい。タイ、ベトナムなどASEAN10カ国の小売市場は少なくとも120兆円と推測される。これは日本の小売市場に近い値だ。規模的に中華圏には劣るが、それでもASEANの小売市場は魅力的に映る。

とまあ雑感を述べたが、要するに日本経済においてECは極めて重要な存在だと主張したい。市場規模が大きいと新たなイノベーションの創出を期待できる、これが主張の理由だ。

停滞する日本経済にとってイノベーションの創出は不可欠。ECはその土台に必ずなれる。そのためには有能な人材の流入、ソリューションの増加、攻め守り両面での法制度の整備、知恵の集結が必要。本コラムのタイトル通りECが日本経済の地殻変動の主役になってほしい。