【インタビュー】タンスのゲン 橋爪裕和 常務取締役「2022年7月期は売上高243億円超 商品価格値上げも増収で着地」

家具・家電EC大手のタンスのゲンの2022年7月期における通販売上高は、前期比7.4%増の243億9000万円となった。近年の巣ごもり需要の拡大もあり売り上げを伸ばす一方で、足元では製造原価や輸送コスト増加により、商品価格の段階的な値上げを余儀なくされているという。橋爪裕和常務取締役に前期の振り返りや原価高騰への対策、EC創業20周年を迎えての抱負などを聞いた。

<上期と下期で明暗>

――前期(2022年7月期)の振り返りを。

上期(2021年8月―2022年1月期)と、下期(2022年2―7月期)で明暗が分かれた1年だった。

上期は、2021年7月期業績を引き継ぐ形で売り上げも好調に推移したが、下期は、ウッドショックや円安に伴う原価高騰により商品価格の値上げを強いられ、苦戦することになった。「楽天市場」などのECモールでは、価格面で競争力が低下し、思うように売り上げを伸ばせなかった。

前半戦の収益を、後半戦では消費する形となり、なんとか7%の増収で着地できたという状況だ。

海外からの輸送費が1年間で2~3倍に膨らむなど、コスト増加の影響は甚大だ。コストを吸収できる部分は吸収しているが限界はある。商品の値上げは、状況が悪化するに従って段階的な対応を迫られているという状況だ。

商材としては、マットレスなどの寝具類、アウトドア商品や家電が好調だった。全国的な猛暑の影響により、暑さ対策関連の季節家電も販売が伸びている。

チャネルの中では、「本店」である自社サイトが好調だ。「本店」限定の商品開発など、独自の取り組みが「本店」の集客に結び付いている。

アウトドアなど特定分野のインフルエンサーと協業し、商品企画などを行う「タンスのゲン公式アンバサダー」は、新規顧客開拓の面でも一定の成果を収めている。

今期は集客において、今まで以上の苦戦が予測される。独自の取り組みやお得さの訴求で「本店」の価値向上に、引き続き注力したい。

<商品開発を見直し>

――今期(2023年7月期)の展望・注力点を。

前期と異なり、期初から原価高騰に直面する今期は、かなり厳しい戦いが予想される。そういった状況の中でも、お客さまに喜んでいただき、なおかつしっかりと利益を上げられる商品を開発していくことが大きな課題であり、注力点となる。

現状の商品ラインアップは、段階的な値上げにより開発当初想定していた価格帯から離れてしまっているものも多くある。

足元での商品企画については、現状の市場に則した価格で販売できるよう大幅な見直しを行っている。デジタルツールを活用しての現地とのコミュニケーション強化など、海外の製造拠点との連携も深め、この難局に立ち向かっていきたい。

変化が激しい1年になるだろうが、当社の強みである商品力をさらに磨き込み、増収増益を目指していく。

<7月にEC20周年>

――7月15日にはEC創業20周年を迎えた。

20年間でこれだけの規模に成長できるとは想像していなかった。20年間さまざまな難題もあったが、目標達成に向け、スタッフ一丸で最後まで諦めず、がむしゃらに取り組んできた結果の積み重ねで今があると捉えている。

これからの20年は今まで行ってきたことを踏襲しつつ、さらなる進化が求められる。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、お客さまに買い物をより楽しんでいただけるような、新しい顧客体験をオンラインで生み出していく。自社アプリやSNSなど、お客さまとより近い場所での顧客接点拡充は、今後ますます重要な要素となってくるだろう。

今まで通りがむしゃらに挑戦を続け、お客さまに愛される企業を目指すとともに、地元である福岡県・大川市の発展にも寄与していきたい。