【インタビュー】大網 金坂瑞樹 副社長「売上高は253億円に 海外販売が国内と同規模に」

「あみあみ」のサイト名で、フィギュアを中心にホビー商材を販売する大網の2022年5月期における国内外ECを主体とした通販売上高は、前期比25%増の253億円となった。特に海外での販売が拡大し、売り上げの規模は国内売上高と同水準に高まっているという。金坂瑞樹副社長に、前期の振り返りと今期の注力点を聞いた。

<海外販売比率50%に伸長>

――前期(2022年5月期)は大幅な増収となった。

増収の要因としては、海外での販売が大きく拡大したことがまず挙げられる。国内での販売も好調だったが、海外事業はそれを上回る勢いで成長が続いた。

全体の売上高に対する海外販売の比率は、前年の37%から約50%へと大幅に伸長した。メインの市場となる北米に加えて、アジア向けの販売が好調だった。

フィギュアやグッズといった当社のメイン商材は、各コンテンツの人気や商品の販売スケジュールに影響を受ける。期中に人気のゲーム・アニメ作品の高単価商品が数多く発売されたことも、販売好調の要因となっている。

海外販売の好調については、足元で続いている円安との因果関係は他業界に比べて薄いと考えている。フィギュア市場は「欲しい物を買う」という価値観があり、2000~3000円程度の価格差で、購買傾向が大きく変動するものではない。

新規顧客の購買に対するハードルが多少は下がったとは捉えているが、現状海外での販売に大きな影響は与えていない。

ただ、円安が長期化すれば、メーカーが値上げせざるを得ず、国内での消費減退が懸念として考えられる。

<不正購入対策に尽力>

――国内の販売状況はどうか?

国内事業も、「本店」(自社サイト)を筆頭に販売が拡大している。その中心となっているのは2万円以上の高単価フィギュアの予約販売商品だ。中長期間の連絡や、高度な顧客応対を必要とする予約販売商品を、スムーズかつ気持ち良くお客さまに届けられるよう、「本店」のサービス改善を日々続けている。

サイト運営で課題となっていたのが、特定の人気商品販売時に生じていたボットによるアクセス集中だ。高額転売のための購入と考えられる特定IPによる大量の不正アクセスでサーバー障害が発生し、大多数の善良なユーザーに不利益が生じるといった問題も近年起きていた。

対策として、サーバーの強化に加え「reCAPTCHA(リキャプチャ)」というボット対策ツールをサイト内に導入した。ユーザーに写真や画像を用いた質問を提示し、その回答の正誤でボットかどうかを判断するものだ。

ボット対策はホビーEC業界が慢性的に抱えている課題でもある。「reCAPTCH」はユーザーの購入までの手順を増やすものではあるが、SNSやホビー専門メディアでは「あみあみが転売対策に動いた」などの声をいただき好意的に受け止められている。

また、購入の殺到があらかじめ予測される人気商品は、申込期間を定めた抽選販売を積極的に実施している。公平性を担保した予約商品の販売手法は、今後も運用を通じて改善し続けなければならない。

「支店」(モール店舗)では、出品商品に対する制限が年々厳しくなってきている印象だ。例えば、肌露出が多いフィギュアなどはモールの規約違反にあたり、出品が制限されるケースも出てきている。

予約販売商品のフィギュアという特殊な商品を販売する上で、「支店」のルールが増える中、「本店」の利便性を向上させることでユーザーが「本店」へと集まる流れが近年続いている。

<活気戻る秋葉で>

――コロナ禍以降の実店舗の状況は?

秋葉原にある実店舗も、コロナ禍以前の運用状況に戻りつつある。その中で、ポップアップストアなどECと連動した取り組みも段階的に進めている。今後、海外からの観光客の増加が予測される中、感染対策を徹底しつつ、より規模の大きなイベントも店舗内で実施していく。

来店した海外インフルエンサーとのコラボイベントは、商材や店舗の特性を生かした当社の特徴的な取り組みだ。自社のオウンドメディア化を進めていくとともに、発信力を持つ個人・企業との協業を積極的に実施し、国内外でのブランド認知向上につなげている。