【東芝】“物言う株主”2人を受け入れ いつまで投資ファンドに振り回されるのか 

いつまで資本の論理に振り回されるのか…

 

「東芝の企業価値向上に向けた戦略的選択肢の検討、および、ガバナンス(企業統治)の改善という観点から最善だと考えている」と語るのは、東芝社長の島田太郎氏。

 経営の混乱が続く東芝が、定時株主総会を開催。昨年の総会では、取締役会議長だった永山治氏(中外製薬名誉会長)ら2人の再任案が否決されるなどの波乱があった。しかし、今年は会社提案の取締役候補13人が承認。”物言う株主”として知られる海外投資ファンドの幹部2人を新たに受け入れた。

 ただ、総会で承認されたばかりの綿引万里子氏(元名古屋高裁長官)が総会後に社外取締役を辞任した。新たに社外取締役に就いた一人が、資産運用会社ファラロン・キャピタル・マネージメントの今井英次郎氏。社外取締役で指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ氏もファラロン出身で、公平性が損なわれる恐れもあることなどを、綿引氏は総会前から指摘していた。

 結局、東芝が投資ファンドに振り回される構図は変わらず、会場に来た株主からは「いつまで資本の論理に振り回されるのか」という声も聞かれた。

 また、新たな取締役会議長にはM&A(合併・買収)助言会社、フーリハン・ローキー(元GCA)会長の渡辺章博氏が就任。島田氏や渡辺氏は今後、長期的な成長を目指す会社側と短期的な利益を求めるとされる物言う株主との意見を調整する難しい役割を担うことになる。

 新社長の島田氏は、米ソフトウェア会社や独シーメンスの出身で、自らを「東芝で初めてデジタルが分かる社長」と自負。今後は、半導体などのデバイス事業や原子力などのエネルギー事業を中心とした従来のビジネスに、データやデジタル技術を駆使した新たなビジネスモデルを構築しようとしている。

 ただ、デジタルの世界では米GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)などの巨人がおり、東芝がその牙城を崩すのは容易なことではない。今後は島田氏の実行力が試される。

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