東京都と大田区が合意した【新空港線】東急とJR東がライバル関係に

東京の新たな空港アクセスが実現に向けて前進した。東京都と大田区が進めているJR・東急蒲田駅と京急蒲田駅の約800メートルを鉄道で結ぶ「新空港線」だ。同線が開通すると、新宿や渋谷、池袋などから羽田空港へのアクセスが改善する。

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 大田区長の松原忠義氏が「区の悲願である新空港線整備に向けて、大きな第一歩を踏み出した」と語るように、このほど総事業費1360億円のうち、その費用負担でくすぶっていた都と区が合意。東京都が3割、大田区が7割となった。

 わずか800メートルという距離でありながら総事業費が1000億円を超えるのは地下化を伴うからだ。計画では、1期整備は東急多摩川線を矢口渡付近から地下化・延伸し、京急蒲田駅までつなぐ。さらに、2期整備は京急蒲田駅から大鳥居駅の手前で京急空港線に接続する。東急多摩川線の蒲田駅は地下駅になり、京急蒲田駅の地下にも駅ができる。

 区は「羽田空港と渋谷・新宿・池袋などの拠点や和光・所沢・川越などの埼玉方面へのアクセスが拡充されるなど、東京圏全体の鉄道ネットワークが強化される。さらに、災害時の代替ルートとしての役割も担う」と説明する。

 新空港線の開通で追い風を受けるのは東急電鉄だ。関東の私鉄にとって「新幹線の駅と空港へのアクセスは沿線価値の向上に寄与する」(関係者)からだ。東急電鉄は来年の3月、沿線に東海道新幹線に乗り換えできる新横浜駅が誕生する予定。そこに加えて、新空港線で羽田にも乗り入れることが可能になる。

 大田区民にとってもメリットは大きい。例えば、同じ同区の自由が丘から羽田までの所要時間も52分から32分と20分短縮される見込み。多摩川からも43分から20分になる。

 ただし、乗り越えるべきハードルは高い。東急電鉄と京急では線路の幅が違うため、羽田への〝直通〟の実現に向けては〝乗り換え〟が必要になる。区はフリーゲージトレインを導入することにも言及しているが、実現のめどは立っていない。また、収益面ではJR東日本の「羽田空港アクセス線」の計画もあり、競合路線となる。

 一歩進んだ新空港線構想だが、全線開通には時間がかかりそうだ。