原宿をつくった男! ジム会長兼社長・八木原  保が語る「原宿物語」

民間と行政が一体になって原宿の魅力を発信

 当社は東京・原宿に本社を構えるニットメーカーです。1965年(昭和40年)の独立以来、「地球環境を考える企業」を企業理念とし、ニットづくりを通して、カシミヤ・ウールなどの天然素材を使った高品質な商品開発に取り組んできました。

 埼玉出身のわたしが原宿にやってきた50数年前というのは、渋谷と新宿の間に挟まれた、本当に静かな住宅地という感じでした。

今回はわたしがなぜ、この原宿という街を選んだのかということと、ファッションの街・原宿がどのように誕生し、日本はおろか、世界から注目されるファッションの街になり、発展してきたのかということをお話したいと思います。

 原宿が発展してきた理由はいくつかあると思いますが、わたしの経験からいくと、地域の人たちと一緒になって「まちづくり」をやってきたということが大きいと思います。

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 一つの事例を紹介したいと思いますが、松嶋啓介さんという優れもののオーナーシェフがいます。彼は単身でフランスに渡り、25歳でフランスのニースに出店。外国人として最年少で仏ミシュランの星を獲得したという有名なシェフで、彼が東京に進出したいということで、東郷神社にある東郷の杜の一角に『レストラン アイ』を開店したのが2009年でした。

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 そのお店が流行ったのは当然なんですが、彼は自らの商売だけでなく、原宿をもっと盛り上げたいということで、わたしもすごい親しくしていたんです。

 その彼が、ある時、相談があるからということで、うちの会社を訪ねてきまして、実は今、世界で「Happy」を発信することがすごく流行っていると。何とか原宿でも原宿版の「Happy」をつくって、発信していきたいと言うのです。

 ただ、彼にはきちんとした考えがあって、当時の桑原敏武・渋谷区長と現在の東急会長で東急グループの総帥である野本弘文さんとわたしの3名が賛同してくれることが条件だということで、相談に見えました。

 そこでわたしも桑原さんや野本さんに話をしまして、原宿を盛り上げるためであれば協力しようじゃないかということで話がまとまりまして、4カ月か5カ月ぐらいかけて、「Happy from Harajuku Tokyo - Pharrell Williams #harajukuhappytimes」という動画をつくりました。

 この動画には、キャットストリートや竹下通り、明治神宮、東郷神社といった原宿を代表する街並みが出てきて、ビームス社長の設楽洋さんやユナイテッドアローズ名誉会長の重松理さんといったセレクトショップの創業者をはじめ、プロレスラーの蝶野正洋さんや区長だった桑原さんまで、幅広い分野の著名人が登場しています。これは100万回以上のアクセスがあって、原宿の盛り上げにかなり大きな効果がありました。

 登場するのは若者だけではない。もちろん、老人だけでもない。そして、民間人だけではなく、行政も一体になって、原宿の魅力を発信することができたということに、わたしは大きな意味があると思っています。

続きは本誌で