厚生労働省が、健康食品との関連が疑われる健康被害の情報について、公表を予定していることが、このほど分かった。食品衛生法に基づく取り組みだという。第1弾として、健康被害の情報のあった十数品目の「健康食品」について、主たる成分名や、健康被害の状況、摂取期間、摂取の年齢・性別などを公表すると見られている。因果関係が不明な健康被害事案の公表も予定されていることから、健康食品への風評被害につながることを懸念する声も業界からは挙がっている。
2020年6月1日の食品衛生法8条(指定成分制度)施行以降、プエラリア・ミリフィカやコレウス・フォルスコリ―などの「指定成分」を含有する食品については、「関連が疑われる健康被害」の情報が、厚労省のホームページで定期的に公表されている。厚労省では今後、それ以外の、いわゆる「健康食品」(トクホや機能性表示食品などの保健機能食品を含む)の健康被害情報についても、厚労省ホームページで、公表を行っていく方針だという。
厚労省はすでに、2020年6月1日以降、販売者・製造者や消費者、医療機関などから寄せられた健康被害情報のうち、十数件をピックアップし、公表のひな型をまとめているようだ。業界団体などとの調整を経て、公開に踏み切る考えとみられる。
厚労省では、「情報の公開に向けて、業界団体にヒアリングを行っているところだ。現段階では、いつごろ、何の成分について公開するのか、答えられない」(食品基準審査課)と話す。
公表が予定されている事案の中には、摂取した健康食品と、健康被害の症状との関連性や因果関係が必ずしも明らかになっていないものも含まれているようだ。現状、厚労省では、具体的な製品名は公表せず、「作用を期待して表示されている主な成分名」を公表する方向で検討を進めているとみられる。
業界関係者からは「健康被害には、消費者が同時期に摂取している医薬品の影響などもありうる。また、成分の問題ではなく、製品の品質の問題といった可能性もある。一部の成分名と被害情報だけを断片的に公表することは、健康食品に対する、根拠のない風評被害につながる可能性がるのでは」といった懸念の声も上がっている。