創業100年の老舗寿司店がECに注力し売上400%増!コロナの逆境に適応したDXの取り組みとは
インタビューの概要

新型コロナウイルスの影響により実店舗を中心に商売をしていた企業は大きな打撃を受けました。創業から100年の歴史を持つ『柿の葉寿司のゐざさ中谷本舗』(以下、中谷本舗)もその限りではありません。その状況で、着々とECサイトに力を入れたことで、今ではコロナ以前と比較し、オンライン経由の売上は400%以上になっています。今回は、中谷本舗の中谷圭佑さんにECサイトの売上を伸ばすために実施したことを伺いました。

大正10年から続く中谷本舗がECへ注力

――2021年に創業100年を迎えたとのことですが、中谷本舗のこれまでの歴史についてお話しいただければと思います。

中谷さん:弊社は大正10年に奈良県吉野郡上北山村で始まりました。元々米屋として始まりましたが、今では奈良県の特産品である柿の葉寿司を中心に、小売店への卸、直営店や奈良県内の駅構内、通販などで販売しています。

創業当時は林業が盛んで、全国から上北山村に人が集まっていました。しかし、昭和になる頃には林業が衰退し、奈良市内から車で3時間近くかかる上北山村に来る人は次第に減っていったのです。そこで、上北山村の観光資源の一つである日本百名山の「大台ヶ原山」の名物として、笹の葉で巻いた三角形の「ゐざさ寿司」を作りました。順調に売上を伸ばす中で、吉野の郷土料理である「柿の葉寿司」を一緒に販売し始め、今ではどちらの商品も弊社を代表する主力商品となっています。


中谷本舗が創業するきっかけとなった商品:ゐざさ寿司

――元々米屋だったからこそ、美味しいお米を使っていることが差別化のポイントになりそうですね。ECサイトに力を入れた理由について教えていただけますか?

中谷さん:ECサイト自体は10年くらい前からあったものの、「店舗の客層とウェブの客層は違うから弊社の商品は合っていないのでは?」といった声が社内で上がることもあり、あまり前向きに取り組めていませんでした。また、利用していたカートシステムが、システムアップデートがほぼなく、弊社のようなギフト商材に適していなかったため、力を入れきれなかったことも理由として挙げられます。

そこで、2018年にECサイトのリニューアルをすることにしました。費用をかけてまでECサイトをリニューアルするべきなのかという意見もありましたが、代表が「これからはネットが大事だ」と決断したのです。2020年2月にリニューアルが完了し、本腰を入れてEC運用を開始しました。

新体制の発足と新規集客

――コロナ前にリニューアルを決断し、コロナ禍にアクセルを踏める状態でECサイトを始められたのは非常にタイミングが良かったかと思います。力を入れるようになってからは順調に売上が伸びているようですが、どのような施策を実施したのでしょうか?

中谷さん:まず体制の変化を行いました。リニューアル前は受注が入ったときに処理をしたり、季節の変わり目にちょっと更新をしたりと、ECサイトの対応は片手間で行っていたのです。本腰を入れる上で、カタログ通販なども含めた通販事業部を立ち上げます。チーム構成は私とデザイナー、受注担当ともう1名の4名体制(内2名は兼務)です。

新規集客に関してはリスティング広告とディスプレイ広告を自社で運用しています。広告代理店に運用を委託するにはそれなりの出稿金額が必要になるため、売上の少ないリニューアル直後は経験者のいない自社で運用するしかなかったのです。

リニューアル前にGoogle広告の管理画面を見ながら四苦八苦したものの、成果につなげられず止めていました。その経験から直接Google広告の管理画面を触りながら運用するのは難しいと感じていたので、広告運用ツールを導入してみました。ツールを利用することで運用は非常に楽になり、母の日のタイミングで大きな成果につながったのです。それから今に至るまで、安定したROASで新規の集客ができています。


メールマーケティングを効率的かつ手軽に

中谷さん:色々なセミナーや勉強会に参加すると「リピーターを作ることが大切」と皆さん口を揃えてお話していました。既存のお客様と接点を取るために、今のリストを活かして、すぐに実践できるのはメールマーケティングだと思い、新しいCRMツールの導入を検討したのです。元々連携が簡単という理由で入れていたツールがあったのですが、そのツールでは注文情報などメールを配信するタイミングを決める上で鍵となる情報の連携が上手くいっていませんでした。

また運用するにも具体的にどんなターゲットにどんなタイミングで、どんなメッセージを送るのか自分たちで考え、実装していくために一定の知識や工数が必要になると思います。日々の業務をしながらそういったお客様ひとりひとりに合わせたメッセージを送ることを実現するのは難しい状況でした。

そこで、この機会にCRMツールを新しくすることに決め、複数のツールを比較検討した結果、今ではアクションリンクを導入しています。

――CRMツールの場合、メール配信や分析機能などツールによってそれぞれ特徴があるかと思いますが、選定する上で意識した点があれば教えていただけますか?

中谷さん:弊社は少人数のチームで動いているので効率的に運用を行えることを意識していました。例えば、分析機能が充実しているツールもありますが、分析機能で確認できるデータは見て満足することはあっても、成果につなげるために活用することは難しいと以前利用していたツールで感じていたのです。

リソースやノウハウの問題から、分析をして施策に落とし込み、PDCAを回すことが難しく、コンサルに伴走してもらうとしても先出しで費用がかかってしまいます。売上がある程度の規模になるまで、できる限りのことをすぐに実行に移せるCRMツールを探していました。ちょうどそれに合致し、導入後の費用対効果が最大化できると思ったのがアクションリンクの鉄板シナリオだったわけです。

加えて、以前利用していたツールから、メールの文面やシナリオを乗り換えるサポート(有料オプション)があるので、乗り換えに際して躊躇する理由はありませんでした。

アクションリンクにより増加した顧客との接点

――実際に導入してからはどんなことができるようになったのでしょうか?

中谷さん:アクションリンクの鉄板シナリオでは、過去にあらゆる業種でPDCAを回されて効果的だった施策があらかじめ設定されています。そのため、メール文の作成やシナリオ設計など他ツールでは立ち上げに必要な設定をしなくても、すぐにメールを配信できるのです。弊社では鉄板シナリオの中でも閲覧商品のリターゲティングや、商品ランキングは顕著に購入につながっています。また、ポイント明細メールは購入から期間が開いている人でもついつい開封するメールであるため、非常に有効です。以前のツールで送れなかったので、送れるようになってからのお客様の反応は良いですね。

2022年3月の導入から1ヶ月ほどで昨年と比べると10%以上CVRが伸びています。お客様に合わせて、簡単に様々な種類のメールを送れるため、30%強の開封率を維持したまま配信数を増やすことができました。お客様との接点がかなり増えたことが実数として表れているのです。


左:商品ランキング 右:ポイント明細 導入直後から配信が可能に

届けるコンテンツにこだわりを

――新規の集客からリピーターへのCRM施策まで、一貫した流れを作れているように感じました。今実践している施策を成果につなげるために、中谷本舗のこだわりとして、どのような点を意識しているのでしょうか?

中谷さん:美味しくあることが大前提として、商品や写真などに季節性を出すことを特に意識しています。季節の限定商品として、今の時期(4月末頃)であれば母の日ギフトや新緑葉の柿の葉寿司を販売しています。お客様に興味を持っていただくためにも、企画や商品開発はとても重要です。

加えて、商品ページやメルマガに使うようなコンテンツを作成する上で、写真撮影の際はしずる感の演出はもちろんのこと、食べるシーンを意識することに力を入れています。贈り物としてお買い求めいただくことが多いため、贈り先でどのようにして食べてもらえるのか、具体的にイメージを入れたほうが良いと思っています。


母の日限定商品:開封時のイメージが鮮明に浮かぶ写真を撮影している

既存顧客へのサービス品質を高めながら認知拡大を

――サイトを拝見すると目で味わえる美味しそうなコンテンツが多く並んでいることからも、こだわって作成していることが伝わります。最後に、今後取り組みたいことや読者の方にお伝えしたいことがあれば教えていだけますか?

中谷さん: CRMに関してはLINE連携でお客様と接点を持とうと考えています。サイト内の施策としては、ウェブ接客を強化しようと思って今は試験運用中です。また、ECサイトと実店舗との連携を進めることによって、お客様により良い体験を提供できたらと思っています。

EC化率が高まっているものの、まだまだお寿司を通販で買える感覚がない人が多いと感じています。お寿司というと関西の方は、押し寿司や箱寿司のイメージがあるので日保ちして送れることをご理解いただきやすいです。一方で、関東の方は握り寿司のイメージが強いため、テイクアウトはできるが通販のイメージは少ないのではないでしょうか。

最近ではお寿司を好きなときに美味しくいただけるように、日保ちする期間が長くなるように独自開発をした冷凍商品を販売しています。冷凍したお寿司は美味しく解凍することが難しいため、柿の葉寿司を焼いて食べる古くからの習慣から、着想を得て作られた商品です。レンジでチンして簡単にお召し上がっていただける蒸し柿の葉寿司をぜひご賞味いただければと思います。

今後ECサイトの規模を拡大していくことで、奈良をはじめ、地方の名産として昔から食べられているお寿司があることを知っていただきたいです。


日保ち期間が180日の蒸し柿の葉寿司

インタビューを通して:変化への柔軟な対応が長い歴史を守っていく

100年の歴史の中で多くのお客様から愛されてきた中谷本舗は緊急事態宣言の影響を受け、かなり売上が落ち込んだこともありました。その中でECに取り組まれたことが、着実に今の売上へとつながり、実店舗とは異なる新しい層のお客様とも接点を作れているのではないでしょうか。

運用チームの限られたリソースを最大限活かすために導入されたアクションリンクはSKU数が多い総合通販系の事業者様に特に効果を発揮するようです。通常のCRMツールであれば導入からメール文の作成、シナリオの設計などスタートまで数ヶ月かかることも少なくありません。既存顧客とのコミュニケーションに時間を割ききれていない事業者様はアクションリンクの鉄板シナリオを活用して見てはいかがでしょうか?

■アクションリンク
https://actionlink.jp/

■柿の葉寿司のゐざさ中谷本舗
https://shop.izasa.co.jp/