【農林水産省】米国産牛肉の緊急輸入制限協議が長期化

日米貿易協定に基づく米国産牛肉の緊急輸入制限(セーフガード)をめぐる発動数量基準の見直し協議が始まってからまもなく1年が経過する。21年3月にセーフガードが発動したことを受け、数量基準の引き上げを前提とした話し合いを継続。ただ、めぼしい通商案件がなく成果獲得に焦る米通商代表部(USTR)の粘り腰が協議を難航させている。

 協定では、米産牛肉の関税を段階的に引き下げる一方、国内畜産農家を保護するため、輸入量の急増を抑えるセーフガードを導入した。20年度の発動数量基準は24万2000トンだったが、21年3月上旬にこれを超過し、関税率が一時的に25.8%から38.5%に引き上げられた。

 20年1月に発効した日米貿易協定のサイドレターは、発動後10日以内に協議を始め、90日以内に終了させると規定している。発動数量基準は当面の間、毎年5000トン弱増えるが、米国は上積みを狙う。協議は21年中にまとまるとの見方もあったが、「米国がむちゃくちゃな要求をした」(自民党幹部)ことにより、長期化している。

 一方、米側は最近になって「要求水準を下げてきた」(同)とされるが、協議を完了できる見通しは立っていない。

 米産牛肉はコロナの影響が緩和した米国内の好調な外食需要や、中国と韓国の消費拡大を受けて価格が高騰している。米国にとって今後も人口減少が続く日本は「魅力的な市場ではない」(農林水産省幹部)ことから、普通なら発動数量の引き上げに血道を上げる動機はない。

 背景には、USTRが貿易交渉で得点を稼ぎにくい事情がある。バイデン大統領は新たな貿易協定締結などに慎重なためだ。セーフガード協議で粘ってUSTRの存在意義を示す思惑が透けて見える。日本政府関係者は「農林族議員に言わせれば『USTRが頑張った感を見せることに付き合っていられない』というのが本音」と話している。

【農林水産省】江藤元大臣が農林調査会長に  ”高市人事”が波紋呼ぶ