法改正や新規制は見送り、悪質事業者は厳正な法執行へ 第6回アフィリエイト検討会で報告書案に異論なし

消費者庁は1月28日、第6回「アフィリエイト広告等に関する検討会」を開催し、これまでに議論された内容の報告書案を協議した。法改正をはじめとした新たな規制は課さない一方で、景表法だけにとどまらず他の法律とも連携し、悪質な事業者が行う虚偽・誇大なアフィリエイト広告に対して厳正な法執行に乗り出す。また、不当表示の未然防止や、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害しないよう、必要な管理上の措置を講じなければならない、とする景表法26条の観点から、悪質ではない一般的な事業者向けの指針を新たに作成する。指針では、アフィリエイト広告の広告主が講ずべき措置として具体化したものを明示する。検討会の委員からは報告書案に異論や反対意見はみられなかった。

「アフィリエイト広告等に関する検討会」は、アフィリエイト広告に対する景品表示法の適用などに関する考え方と、不当表示の防止に向けた取り組みを議論する目的で、2021年6月から継続して開催されている。

委員はオンラインで検討会に参加

前回の検討会では、悪質なアフィリエイトの対策の方向性が示された。表示の適正化に向けた広告規制は、①問題のあるアフィリエイト広告に対する法執行 ②広告主によるアフィリエイト広告の管理方法(未然防止の取り組み) ③アフィリエイト広告に関する官民協同による情報共有体制の構築――の3つの観点から行うというもの。

1月28日の検討会では、検討会の報告書案が提示された。検討会が整理した論点は、①アフィリエイト広告に対する景品表示法の適用に係る基本的な考え方等 ②悪質な事業者への対応 ③不当表示の未然防止策(景品表示法第26条に基づく事業者が講ずべき表示の管理上の措置)――の3点(内容は先の報告書案のとおり)。また、景表法における表示主体性がある限り、アフィリエイト広告の責任は広告主が負うとして、周知に努める。ASPやアフィリエイターに対しても、広告主と同様の責任主体として位置付けるべきとの考え方もあり得るとしている。

いずれの委員からも、報告書案の内容について異論はなかった。報告書案を踏まえて、11人の委員が個々の意見を述べた。

<消費者相談の多い上位50社が相談の8割占め>

アフィリエイト検討会における消費者庁の報告によると、令和元年度に受け付けたPIO-NET(パイオネット)上の相談件数は約5万件にのぼっており、このうち、消費者相談の多い上位 10 社で全体の約半分の消費者相談となった。また、相談件数のうち約 80%を上位50社が占めるという。

これを踏まえて、日本アフィリエイト・サービス協会会長の河端伸一郎委員は「悪質な事業者は(不当表示につながる行為を)繰り返していることがほとんど。広告のクリエイティブ単位ではなく、事業者単位で悪質性を判断し、徹底的に排斥する必要がある」と訴えた。

弁護士の池本誠司委員は、景表法の解釈運用の周知徹底では不十分な場合は、今後の検討課題として、必要に応じて景表法に明文規定の設置を検討するべきではないかとの考えを述べた。

<消費者教育の重要性を喚起する声も>

一方で、公益社団法人日本通信販売協会の専務理事の万場徹委員は、事業者ばかりに責任を追及するのではなく、消費者教育についても議論していくべきだと指摘。「特商法では、悪質事業者を規制・排除する目的で繰り返し法改正を行ってきた。しかし、改正法を守るのは悪質な事業者ではなく、悪質性のない一般の事業者にとどまる。この悪循環を防ぐためには、消費者が選択眼を磨くしかない」(万場氏)と話した。

万場氏はさらに、今回のような検討会では、経済学的な知見をもつ経済学者にも参加してもらい、経済の効率性を含めた多面的な議論を行う必要があると述べた。その上で、「景表法が26条に定める『表示の管理上の措置』や方針を具体化する上では、関係者の意見を広くヒアリングして、実態に沿った形で、実効性のある策定を願いたい」(万場氏)とした。

一般社団法人日本アフィリエイト協議会代表理事の笠井北斗委員は、悪質事業者の優先的な排斥には同意しながら、「細かい部分の施策や整備が、現行のベストプラクティスに反するようなものになると、真っ当な事業者の不利益につながる。消費者にもマイナスの影響を与えかねない。一律な規制を設けるのではなく、各業界関係者の対応をヒアリングしながら進めてほしい」と要望した。

委員からは、自主規制が重要な役割を担うとする声も挙がった。岡山大学大学院法務研究科教授の佐藤吾郎委員は、事業者団体による自主規制の内容、実施状況、効果を定期的に把握できる仕組みを構築するべきではないかと考えを示した。今後、立法論を含めた今後の対応を検討する場合に、こうした状況の把握が検討の基礎になるとみている。