【「au PAY マーケット」ライブコマース戦略を八高本部長に聞く】商品購入MAUは50%増 無料提供は3月末まで延長へ

auコマース&ライフは2021年11月、ECモール「au PAY マーケット」の出店店舗に対し、ライブコマースが行える機能の提供を開始した。ライブコマース自体は2019年7月、エブリーおよびKDDIとスタートしている。auコマース&ライフ経営企画本部の八高正規本部長に、ライブコマースの現状や今後の予定を聞いた。

<吉本興業と包括的に実施>

――ライブコマース自体は以前から手掛けている。現状は?

2019年7月に「ライブTV」というライブコマースを開始している。現在、月に20~30本のライブコマースを配信している。ライブコマースのベースとなるのは、引き続きエブリーと制作を含めて連携しているところと、吉本興業さまと包括的にライブコマース事業を進めており、お笑い芸人の方に積極的に参加していただいて、彼らが持っているエンターテインメント性を入れながら、新しいライブコマースの形を作っている状況だ。

――これまで実施してきたエブリーとの取り組みや、吉本興業とのライブコマースによる成果は?

商品の購入MAU(月間アクティブユーザー数)に関しては、前年比50%増ぐらいで成長している。「au PAY マーケット」全体でもライブコマース経由での購入は約2割程度あり、視聴者数なども昨対比で倍増は超えてきているので、ライブコマースに関しては一定の強みがあると思っている。 

<臨場感、限定感、シズル感>

――ライブコマースを手掛けてきて、ライブコマースの流儀というかノウハウというのはあると思うか?

個人的には臨場感×ライブならではの限定感×シズル感が3つ掛け合わさるとよりお客さまに伝わり購入いただきやすいと思っている。まず1つは、静止画とは違うので、知識や熱意を持っている人がきちんと伝えないと伝わらない。よりリアルタイムで、その商品について、知識や熱意のある説明によって視聴者の方が一緒に参加していると思ってもらえるかが重要と捉えている。2つ目は、そのときに買わなければいけないというライブならではの限定感で最後の後押しで何をするか。それが価格なのか、ポイントなのか、それともおまけなのか、それはその商品とかメーカーによっても違うと思うが、限定感というのをいかに出せるかを大切にしている。最後に3つ目が、動画でしか出せないようなシズル感も商品ページの画像だけでは伝わらないライブコマースに必要不可欠なものだと思っている。食品カテゴリーでいうと、湯気であったり、おいしさであったり、あとは動画でしか出せない音とかもその1つだ。

<UI改修し視認性向上、訴求強化へ>

――2021年11月から、「au PAY マーケット」の出店店舗に対して、ライブ配信機能の提供を開始した。ユーザーに対して「au PAY マーケット」で動画をやっているという案内は何か行っているのか?

今回の店舗さま向け「ライブ配信機能」のサービス開始に合わせてというわけではないが、ライブコマースの認知については一昨年から、KDDIが提供するauスマートパスのアプリなど、au媒体への導線設計をメインに取り組んできた。昨年はより外に広げるということで、主に3つの取り組みを行ってきた。1つはKDDIのグループ会社にグノシーがあるので、グノシーと連携しながら同時配信を実施し、各サービスからの導線を作った。2つ目が吉本興業さまと連携することによって、彼らが持っているSNSを含めた外部との接点を積極的に活用した。3つ目がリスティングを含めて外部出稿はあまり行ってこなかったが、ライブコマースとしてインターネットメディアに出稿して認知を高めている。今後は、「au PAY マーケット」のサイト上のUIを改修し、「ライブTV」の放送中の視認性向上および訴求強化を予定している。

<先行者メリットでノウハウ体系化>

――ECモール出店店舗向けのライブコマースサービスは、利用料金が無料となっている。ただ、2022年1月以降の利用料金は別途案内するとなっているが具体的には?

出店店舗さま向けの「ライブ配信機能」をリリースして、多くの店舗さまにお問い合わせやご参加いただいたが、まだご利用いただいていない店舗さまもいらっしゃるため3月末まで無料期間の延長を予定している。より多くの出店店舗さまに、お客さまとの接点拡大や新たな流通拡大の武器としてご活用いただきたいと思っている。

――仮に有料化に踏み切ったときの料金は、定額制あるいは従量課金になるのか?

そこは検討している状況だ。もちろん収益は大事だが、それよりもトレンドを作るという部分と、他モールとの差別化がすごく大事だと思っている。そう考えると、料金の部分で経済合理性を考慮すれば固定なのか従量なのか、よく考えて設計したいと思っているし、それは成功事例を出された店舗さまのご意見などをうかがって、協議をしながら最終的に決めるという形も考えている。

――ライブコマースサービスの提供について抱負をうかがいたい。

ライブコマース自体、ここ5年間ぐらいは、もてはやされては消え、なかなか成功パターンとしては出てこなかったと思う。しかし、他モールもサービスの再開や、新しいライブ系のサービスの展開を始めており、再燃してきている状況かと捉えている。そういった中で、われわれは3年以上の期間を費やしてきているので、その先行者メリットをノウハウとして体系化しながら、より売れる環境を店舗さまやメーカーさまに展開して、1つの集客、コンバージョンのツールとして仕上げていきたいと思っている。