【楽天新春カンファレンス2022】三木谷社長「流通総額10兆円は前倒しできる」 成長戦略やグリーン化を語る

楽天グループ(楽天)は1月27日、「楽天市場」出店者向けイベント「楽天新春カンファレンス」をリアルとオンラインで開催した。三木谷浩史社長は「(国内EC流通総額)10兆円への道」をテーマに講演。「2030年を待たずして(国内EC流通総額10兆円を)達成できる」と自信をあらわにした。

【<画像10点>三木谷社長の講演スライドダイジェスト】

三木谷社長は冒頭、コロナ禍のデジタルトランスフォーメーションの加速について言及した。

「コロナでデジタルトランスフォーメーションが本当に大きく加速した。流通がネットショッピング中心になりつつあるだけでなく、スマホ決済、レストランの予約、仕事の仕方、金融などでも加速し続けている。エンターテインメントでもネットストリーミング、ソーシャルメディアが一気に爆発した。コロナが少し遅れていた日本のデジタル化の起爆剤になった」(三木谷社長)と話した。

コロナ禍のデジタルシフトを追い風に、楽天の成長も加速している。

「1997年に会社ができ、サービスを開始し、2009年に(国内EC流通総額が)1兆円を達成するまで12年くらいかかった。そこから2兆円、3兆円、4兆円、5兆円と成長速度はどんどん加速している」(同)と説明した。

グローバルではEC化率が2020年の段階で17.8%に達しており、中国ではすでに40%に達したとも言われている。一方、日本は2020年のEC化率が8.1%と伸びているが、世界との差は開いている。三木谷社長は日本のEC化はこれから本格化すると見ている。「日本のEC化率は超拡大前夜」と指摘する。

「現状の日本のEC化率8.1%もいずれ20%に到達するのであろう。マーケットサイズは2.5倍になる。楽天が目指している国内EC流通総額10兆円は、目標の2030年を待たずしてもっと早く実現できるのではないかと考えている」(同)と話す。

<楽天モバイルユーザーの約60%は恒常的に「楽天市場」で購入>

三木谷社長は楽天が注力するモバイル事業とのシナジーについても説明した。

すでに楽天エコシステムの新規加入者の約20%が楽天モバイル経由となっている。新規ユーザーの獲得に楽天モバイルが大きく貢献している。

「楽天モバイルに加入したユーザーは、『楽天市場』の年間購入額が1.7倍になる。当初、私もポイントをたくさんあげているから、それで買っているのかと思っていたが、これは恒常的に変わっているのだと分かった。楽天モバイルの加入者は現在、約500万人だが、これが1000万人、2000万人、3000万人、4000万人と増えれば自ずと皆さんの流通総額は爆発的に伸びていく」(同)と話した。

楽天モバイルユーザーの約60%は恒常的に「楽天市場」で購入しており、他のキャリアと比べ、ECサービスとのクロスユース率は圧倒的に高いという。

「楽天モバイルが本当に1000万人、2000万人、2500万人とユーザーを獲得できるのかと思うかもしれない。楽天モバイルの契約数は、楽天カードの約3倍のスピードで普及している。数年後に契約者数が2500万人になり、そのほとんどが『楽天市場』で買い物しているというのは、まったく夢物語ではない」(同)と説明する。

<ポイント、スマホ、物流の強化でNPS向上>

三木谷社長は、「楽天市場」が掲げる「Shopping is Entertainment!」というコンセプトに根差したサービスの強化策にも言及した。

「『楽天は何をやってるんだよ。要らないことしなくていいんだよ』と思うこともあるかもしれないが、振り返って見たら、それらの取り組みが大きなプラスになっている。そういうことの連続だったかと思う」(同)と話す。

SPU(スーパーポイントアッププログラム)の利用者数は、年平均28%増で増え続けている。ショッピングのエンタメ性を高める施策として、ポイントプログラムの存在が大きいという。

「楽天は昨年、5300億円分のポイントを発行した。今年はおそらく6000億円近くのポイントを発行するだろう。巨大な経済圏になっている」(同)と話す。

スマホ対応の強化により、モバイル端末経由の売り上げも飛躍的に拡大している。

「2006年の楽天EXPOで『モバイル!!モバイル!!モバイル!!』を掲げ、将来的にモバイル比率は70%以上になると話したが、その当時の店舗さんはポカンとしていた。2021年第4四半期のモバイル比率は約80%になっており、2022年の元旦のモバイル比率は88.4%になった」(同)と説明する。

三木谷社長は他にもROOM経由の購入者数が2年間で2.5倍になっていることや、ライブコマースに注力することを説いた。

「ライブビデオを使ったショッピング、コマース、プロモーションがどんどん大きくなっていく。アメリカでも4兆円くらいのマーケットになっている。日本でも普及していくだろう」(同)と話す。

「送料込みラインの統一」施策では、2021年12月時点の導入店舗数が全体の約92%にまで高まっている。導入店舗と未導入店舗の成長率には、約18ポイントの差が生じているという。

日本郵便と連携し、「楽天市場」の店舗をまたいだ購入商品をまとめて配送できる「おまとめアプリ」の提供を開始した。配送面のサービス拡充はNPS(顧客推奨度)スコアの改善に寄与していると説明する。

<AIが店舗の運営効率、最適化を支援>

楽天は店舗の効率的な運用やサービスの最適化を支援するためのテクノロジーの開発に注力している。

「価格と在庫の最適化エンジン『PIOP(ピオップ)』はすでに約200店舗に使っていただいている。売上予算に対して、どのくらい在庫を入れたらいいのか、どのくらいの価格にしたらいいのか、ということをAIが自動的に算出してくれる。スポーツジャンルの事例では、導入後に売り上げが約2倍に増えた。車用品ジャンルの事例では、利益が約3.5倍に増えている。生活用品ジャンルの事例では、在庫消化率が約2倍に高まった」(同)と説明する。

プロモーションにおいても「運用型ポイント変倍」というサービスを提供している。AIが商品ごとに最適化したポイント倍率を算出し、削減したポイントコストを自動的に再投資するというサービスだ。従来のポイント変倍と比較し、ポイント投資の費用対効果が約20%改善した実績があるという。

物流テクノロジーでは、ドローンやUGV(自動配送ロボット)の活用を実験的に行っている。三木谷社長は「規制も多かったが、国も前向きにやっていこうということなので、コスト的にも実現可能性が高まっている」と見ている。

JP楽天ロジスティクスの倉庫の自動化も進んでいるという。今後も物流テクノロジーに投資していく考えだ。

<楽天の赤いロゴが緑に変わる?!>

最後のセクションのテーマは、「グリーン!!グリーン!!グリーン!!」。楽天は社会的プラットフォームとしての存在感を高めており、率先してサステナビリティ施策に注力するという。

「楽天は『RE100』に加盟し、使用するエネルギーを2023年までに再生可能エネルギー由来の電力(再エネ)100%にするという目標を掲げている。楽天単体では目標を前倒し、2021年に達成している。今後、連結子会社も含めて早急に達成したい」(同)と話す。

楽天のエネルギーサービス「楽天エナジー」では、法人向け再エネ供給メニュー「REco(レコ)」を提供している。自社が率先して取り組むだけでなく、サービス面でもサステナビリティの普及に貢献する。

サステナブル商品を取り扱う「EARTH MALL with Rakuten」にも注力している。

「サステナブルへの消費者の関心はすでに高い。購入経験があったり、購入経験はないが興味あるという人は、すでに全体の81%に達している。この状況を考えると多少、価格がアップしても、サステナブルに向かっていくという姿勢が店舗や商品のファンを増やしていく時代に突入したのだと思う」(同)と分析する。

サステナブルへの関心の高さを背景に「EARTH MALL with Rakuten」のアクセス数は前年同期比約4.5倍と伸びている。流通総額も同約4倍と拡大している。現在は約12万7000点のサステナブル商品をそろえているが、今後さらに増えそうだ。

「将来的には『楽天市場』のすべての商品がサステナブル商品にならざるを得ないと思っている。ならざるを得ないのであれば、率先してやった方がいい。後塵を拝すよりも、前向きに取り組むことで、ファンを増やし、商売を大きくしていくことがポイントだと思っている」(同)と話す。

楽天は今年、25周年を迎えるが、25周年記念のロゴはクリムゾンレッド一色ではなく、サステナブルへの取り組みを表したグリーンを配している。

「赤い楽天からグリーンな楽天へというイメージ。グリーンビジネスwithレッドハートという思いを込めてこのようなロゴを作らさせていただいた」(同)と説明する。

成長戦略を掲げつつも、国内での自社の影響力を理解し、サステナビリティなど社会的な取り組みを率先して推進する考えだ。さらに「楽天市場」の店舗へも参加を促すことで、その社会的な取り組みはより大きなうねりになるだろう。