消費者庁、「クレベリン」に措置命令 大幸薬品は法的措置、弁護士からも疑問の声

消費者庁は1月20日、大幸薬品の「クレベリン」シリーズ4商品の広告表示が景表法の優良誤認にあたるとして措置命令を行った。措置命令案で大幸薬品は即時抗告の申し立てを1月13日に行っており、裁判中であったにもかかわらず、消費者庁は措置命令に踏み切った。

 

対象は「クレベリン スティック ペンタイプ」「クレベリン スプレー」など4商品。商品パッケージと自社サイトで「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」などと表示していた。

 

消費者庁は、空間に浮遊するウイルスや菌が除去・除菌されるかのように表示しているとして、優良誤認とみなした。大幸薬品は「利用環境により成分の広がりは異なる」などと打ち消し表示を行っていたが、消費者庁は認めなかった。

「置き型」は勝訴  

消費者庁が2021年11月、大幸薬品に弁明の機会を与えた当初の措置命令案では、4商品のほか、主力商品「クレベリン 置き型」も措置命令の対象とされていたが、この商品について差し止めを求める訴訟を提起し、主張が認められている。

 

「置き型」について、東京地裁は、大幸薬品が消費者庁に提出した試験結果などが合理的根拠に当たると認め、仮の差し止めを決定した。ただ、その他の4商品の差止訴訟は棄却。大幸薬品は東京高裁に即時抗告を申し立てたが、消費者庁は措置命令を出した。

 

措置命令を不服として、大幸薬品は取消訴訟や審査請求に乗り出す方針。大幸薬品の高梨寿広報部マネージャーは「消費者庁の命令は東京高裁での審理が開始される前に行われたものであり、極めて遺憾」と話している。審理中に措置命令を出した理由について、消費者庁から回答は得られなかった。

裁判中に措置命令、「三権分立の意味ない」の声も

裁判中にもかかわらず、消費者庁が出した大幸薬品に対する措置命令。消費者庁の判断について、景品表示法に詳しい弁護士からは疑問視する声があがる。

 

通販・EC事業者の顧問を務める東京神谷町綜合法律事務所の成眞海(せい・しんかい)弁護士は、「行政側は、仮の差し止めについて裁判所の判断が確定するまでの間は、行政処分を控えるべき。そうでなければ三権分立の意味がない」と意見する。

 

消費者庁が2021年11月に提示した「置き型」のクレベリン2商品の措置命令案については、仮の差し止めが認められている。

 

これを踏まえ、「除菌効果についてそれなりの根拠はあった可能性もあり、そもそも処分対象として適切であったのか疑問が残る」(成弁護士)。

 

景表法に詳しい丸の内ソレイユ法律事務所の中山明智弁護士は、「差し止め訴訟判決に先行して措置命令を出したのは、かなり強気な判断という印象」と指摘した。

 

景表法を含めた通販広告に詳しい薬事法広告研究所の稲留万希子代表は、「(今回の)措置命令の対象となった商品の利用シーンは屋内外を問わない。持ち運ぶことも多い。『置き型』と同じような効果は得にくく、(空間除菌という)表示は誤認を招きやすい」と受け止めている。

 

先の中山弁護士も「大幸薬品がどのようなエビデンスを提出したのかは把握しかねる」とした上で、「実空間におけるエビデンスがなければ空間除菌はうたうべきではない」と忠告した。