【株価はどう動く?菅下清廣氏に聞く】長期の上昇トレンドは終了か?FRBの金融政策の動向に要警戒

ナスダック指数は天井を打った?

 2021年までは、09年3月にリーマンショックを織り込んだ安値を付けてから長期トレンドの上昇局面が続いてきました。また、中期トレンドで言えば20年3月のコロナショックの安値から上昇トレンドが続いてきたのです。

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 この上昇トレンドが、大きな調整局面に入ってきていることは間違いありません。最近付けたニューヨークダウや日経平均の高値が歴史的天井なのかはまだわかりませんが、これまで続いてきた米国株の長期の上昇トレンドは終わった可能性があります。

 その象徴的動きが、ニューヨークのナスダック指数です。完全に天井を打った形になっており、21年11月22日に1万6212ポイントと、ニューヨークダウに先行して高値を付けました。その後、12月28日に1万5901ポイントという二番天井を付けた後、下落しています。

 一番天井を付けた後の安値が12月3日の1万4931ポイントでしたが、22年の年明けから下回ってきています。この後、多少下げ過ぎの反動高で戻っても、1万6000ポイントを回復できないようなら、今が天井ということになります。

 ということは、ナスダック構成銘柄である「GAFAM」と呼ばれるニューハイテク株が、軒並み頭打ち、あるいは当面の天井を付けた可能性が高まってきているということです。ナスダックが先に天井を付けて、ニューヨークダウがそれを確認して下げるという展開が予想されます。

 ニューヨークダウを見ると、21年11月8日に3万6565ドルという高値を付け、12月1日に3万4006ドルと、3万4000ドルの大台ギリギリのところまで下げ、ここが一番底になっています。ニューヨークダウはナスダックに遅れて一番底を入れた後、年初に戻って1月5日に3万6952ドルという高値を付けて、11月8日の高値を抜きました。

 この1月5日の高値が二番天井となるかどうかの見極めが、今後の日米の株式市場の行方を見る上で重要になります。この後、1月5日の高値を抜いてくるようなら、3万8000ドル、あるいは4万ドルの大台を目指すような相場があり得ます。これは強気シナリオです。

 一方、1月5日の高値を抜けないけれども、その水準近辺で強弱感が対立して揉み合うというのが中立シナリオです。

 そして悲観シナリオはナスダックと同じように、1月5日の高値に対して、それを抜けない二番天井を付けた後、下落調整局面に入るというものです。この時には、かなり厳しい下げになる可能性があります。

 あるいは、昨年11月8日の高値に対して、1月5日が二番天井だということになれば、この後下落し、12月1日の3万4006ドル近辺まで下げる可能性があります。

 年初から波乱相場、「波高き相場」が続いてきましたが、攻防の分岐点に差し掛かっている状況です。ナスダックを見ると、すでに天井を付けた形ですので、ニューヨークダウも天井を付ける可能性が強まっています。

 これまでニューヨーク株に投資をしてきた投資家は要警戒です。この後、まだ高値はあるかもしれませんが、現金比率を高めた上で、この後大きな下落調整局面に入るのか、ここを踏ん張って1月5日の高値を突破してくるのかどうかを見極める必要があります。

 年初からの波乱相場の最も大きな要因はFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策です。長年続いた金融緩和から引き締めに転換すると宣言しているわけです。この後3月に本格的に量的緩和を終了して、利上げが行われるということになれば、ニューヨーク株は間違いなく天井で、マネーバブルの〝宴〟は終わります。

 次のFOMC(米連邦公開市場委員会)の内容が、本格的な引き締めだということになれば、その時点で相当下げる可能性があります。それを見極めるためにも投資家は現金比率を高める必要があるということです。

 この後、マーケットが反発してくるようであれば、FRBの量的緩和縮小、利上げが一時的なものにとどまるということになります。オミクロン株が猛威を奮って、コロナ感染拡大が欧米、世界中で続いていますから、経済の絶対悪は続きます。

 そこでFRBは金融緩和の行き過ぎを修正するにとどめて、緩和自体は続けて、米政府の景気対策も引き続き強力に行われるということになれば調整局面は一時的ということになります。このどちらのコースを行くかは、現時点ではまだわかりませんが、3月末までにはわかるでしょう。

 加えて、米中対立激化、ロシアのウクライナ侵攻リスクが残っていますから、株安のリスクが高いということが言えます。

 一方、私独自の波動論で見ると、コロナショックの安値から直近の高値までの3分の1押しはどこかというと約3万ドルです。もし、大幅な調整があっても、3万ドルを割れなければ、再び相場は戻ってきます。

 もう一つ、21年の年足は「陽線」でした。年始より年末の方が株価が高かったのです。しかも、3年連続で陽線が出ています。酒田五法では3本連続の陽線は上昇トレンドの兆しとされています。

 そこから見ると、22年の年足も陽線になる、つまり今年は前半安、後半高になる可能性があるということです。この時には、経済の実体悪を受けて、FRBが再び金融緩和のスタンスに戻ることが予想されます。しかも、11月には米中間選挙がありますから、バイデン大統領は必ず景気対策を打ってくるでしょう。これが後半の株高につながります。

 為替の円安が続いていますが、日本は今、輸出立国ではなく資本輸出国ですから、ドル資産を保有するメリットが大きくなります。しかも米国の金利が上がれば、日米の金利差が広がり、さらに円安につながるでしょう。ただ、米国は今、中国の覇権主義に対抗することに意識が集中していますから、ドル高是正にはすぐには動かないと見ます。