ソニーがEVの本格参入を検討 既存の産業秩序を変えるか?

ソニーグループが開発中の電気自動車(EV)について、市場への本格投入を検討していることが分かった。これまで開発のみに留めるとしていた同社だが、一転、事業化へ踏み切ることで、EV戦線に新たなプレイヤーが登場することになる。

 年明けに米ラスベガスで行われたITと家電の見本市「CES」で、会長兼社長の吉田憲一郎氏が表明した。ソニーは2年前のCESで『VISION-S』というEVの試作車を公開。同社の強みでもある画像センサーや通信、AI(人工知能)技術など、これまで家電製品やスマートフォンなどで培ってきた技術を集約した新たなEVとして話題になった。

 その後は2020年末から欧州で公道での走行テストを開始するなど、技術や安全性を検証。今回のCESでは、SUV(多目的スポーツ車)型の新たな試作車『VISION-S 02』もお披露目。今春に新たな事業会社を設立。「ソニーの最先端技術を継続的に投入し、新たなモビリティ体験を提供する」(同社)ことを目的に、EVの市場投入を本格的に検討していくという。

 EV市場を巡っては、米アップルや中国・百度、台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)世界最大手・鴻海精密工業なども意欲を示す。こうした状況下、ソニーのEV参入について、既存の自動車メーカーからは「量産化は容易ではないし、家電製品と自動車では何かあった時の安全面で大きな差がある」と冷ややかな声も聞こえてくる。

 歴史を振り返れば、金融やカメラなど、ソニーが新たな事業に参入する度に、既存メーカーからは「異業種に何ができるか」と揶揄する声が聞こえてきた。しかし、そうした外野の声を跳ね除け、今では金融事業はグループの屋台骨を支える事業に成長している。

 どんな分野であっても、異業種の参入が、既存の産業秩序を変える可能性は大きい。創業者・井深大氏の思いを今も受け継ぐ吉田氏。同社のフロンティア・スピリットはますます旺盛だ。

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