シリコンウェハおよびディスプレイ基板向け自動搬送システムサプライヤのローツェが、中国での半導体向けウェハ搬送装置の量産体制構築に向けた準備を進ると同時に、同社の量産拠点であるベトナムでの新工場建設を開始したことが明らかとなった。

中国での動きは、同地で販売とサービスを手がけてきた現地100%子会社である楽孜芯創自動化設備(上海)が、100%製造子会社である楽孜芯創半導体設備(上海)を2021年12月末に設立したというもの。ローツェからみて孫会社にあたる楽孜芯創半導体設備(上海)の資本金は1500万元(約2億7000万円、1元=18円換算)で、現在、上海市内に延べ床面積6600平方メートル、3階建ての工場建屋を借りて内装工事を進めているという。そのうち1階の約1750平方メートルをクリーンルームとし、FOUP(300mmウェハの密閉搬送容器)から半導体製造装置にウェハを出し入れするEFEM(Equipment Front End Module)と呼ばれる装置を組み立てる。投資額は約2億円を予定している。

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    FOUP(左端)を搭載したEFEM (出所:ローツェWebサイト)

すでに中国子会社では既存のレンタルクリーンルームにて試験的に月に1~2台のペースで装置の組み立てを開始しているという。孫会社の新工場は2022年夏に稼働予定で、稼働すれば拠点を移して組み立てを本格化する模様。現在、子会社の従業員は49人だが、いずれ孫会社も含め300人まで増員する計画だという。

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    ローツェ中国子会社のクリーンルーム (出所:2022年2月期第2四半期決算説明資料)

これまでベトナムで組み立て、中国に輸出していたが、ベトナムにおける新型コロナの感染状況や中国における需要の伸びを勘案し、中国に製造拠点を設置することで現地からの需要に柔軟に対応できるようにしたという。

また、その半導体向け装置の量産工場があるベトナムでも、さらなる増産に備えた新工場の建設が始まったという。2021年12月に起工式が執り行われ、2022年8月完成を目指して工事が進められている。場所は、ベトナムのハイフォン市の工業団地内で、敷地面積は約1万平方メートル、延床面積は約3万平方メートル(地上5階建)、投資金額1620万ドルとなっている。

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    ベトナムのA10新工場建設の様子(2022年1月7日時点) (出所:2022年2月期第3四半期決算説明資料)

好調な2022年2月度第3四半期決算業績

ローツェが1月12日に発表した2022年2月期第3四半期(9~11月期)の決算によると、連結売上高は前年同期比22%増の465億円。このうち、主力の半導体関連装置は同60%増の397億円だったものの、FPD関連装置は同72%減の28億円にとどまった。国・地域別比率を見ると、米国(主に製造装置メーカー)が33%、中国(主に製造装置メーカー)26%、台湾(主にデバイスメーカー)16%、日本9%、韓国6%、以下、欧州、ベトナム(FPD関連装置)、シンガポールと続いており、売り上げの9割以上が海外企業向けとなっている。また、連結営業業利益は同45%増の107億円と好調であった。

半導体関連装置の販売拡大が続いていることから、売上高は好調に推移しており、通期予想に対する進捗も計画どおりに進んでいるという。利益面ではベトナム工場での生産効率改善などによる効果から増益を図れたとしている。また、FPD向け事業では、2021年12月にベトナム向け自動化装置の更新による新規受注を獲得したことから、第4四半期の受注高に約15億円が計上される見通しであるとしている。