【記者座談会 2022年EC業界予測<3>コンプライアンス編】進む規制、求められる柔軟な対応

2022年のEC業界はどう動くのか――EC業界の”現場”を取材で駆け回る「日本ネット経済新聞」の記者が集まり、「2022年のEC業界予測」を語り合った。テーマは①OMO ②物流 ③コンプライアンス ④越境EC ⑤商品調達 ⑥ライブコマース ⑦メタバースーーの7項目。記者が取材で見てきた変化を振り返りつつ、今年のEC業界の行方を占う。記者の写真とともに、それぞれが掲げるEC市場を攻略するための「2022年のキーワード」も掲載している。

【③コンプライアンス編】

星野:2021年は特商法が改正され、定期購入規制が導入された。通販・ECの最終確認画面で、複数回購入時の「総額表示」や支払い回数、支払い時期などを表示しなければいけないというものだ。これまでもガイドラインで規定されていたが、条文に盛り込まれたことで、より規制の意味合いが強くなった。罰金も課される。

2022年は消費者庁や地方自治体が、問題がある企業をどんどん処分していくようになるのではないかと話す専門家もいる。今年はもっと、処分事例の数が増えていくということだ。

2021年は薬機法に課徴金制度が導入された。課徴金制度施行後4カ月間が経つが、具体的な運用事例はまだない。これからどんな影響が出るか分からないが、基本的にはこれまでと変わらず、広告で必要なことだけを書いていれば、問題はないと思う。

      星野耕介 記者

【2022年のキーワード「高品質+情報提供で勝」】

今後のECは、高品質がデフォルトに。プラスαで、独自性の高い情報提供を行うCRM施策を実施すれば勝てる。

企業も敏感に反応

高野:特商法や薬機法については、企業も敏感になっている。つい最近の事例としては、化粧品EC大手のプレミアアンチエイジングの決算短信において、「通販チャネルにおいては、改正薬機法および、改正特商法に伴うガイドラインに対応するべく、社内規定を改定して、広告表現の見直しを行った」という趣旨の記述があった。「それによって、潜在顧客とのコミュニケーションに制限がかかり、新規顧客獲得に必要となる広告投資が抑えられる結果になった」という旨の記述もあった。

ある化粧品EC企業の代表は、「薬機法の改正については、思うところがある。社内の広告チェックはそもそもかなり厳重なチェックをしていたが、改めてチェック体制を見直した」と話していた。

司会:アフィリエイト広告への規制はどうか。

高野:アフィリエイト広告に対する法整備も進んでいる。2021年6月から、消費者庁は「アフィリエイト広告等に関する検討会」を開催している。悪質なアフィリエイト広告への対策の方向性を示すという内容だ。

現時点で明らかになっている内容としては、①問題のアフィリエイト広告に対する法執行 ②アフィリエイト広告の管理方法 ③官民共同による情報共有体制の構築――の3点がある。

これは悪質なアフィリエイト広告の使い方をしている事業者や、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)事業者をどんどん取り締まっていこうというものだ。

検討会の議論の着地点としては、景品表示法の規制をさらに強化したり、新しいルールを作るというよりも、既存の景表法や薬機法、特商法の範囲内で、どんどん執行していこうという形になるのではないか。

アフィリエイト広告については2021年11月、インスタグラムの投稿内容が初めて景表法違反を指摘されたという事例が出た。既存の法律や、検討会で議論中の内容が今後、どんなふうに規制強化に向けて機能していくのかが注視すべきポイントになる。

増えるモールの責任

大多:デジタルプラットフォーマーをめぐる法規制も佳境に入っている。例えば、プラットフォームで商品を買った消費者が大きな事故に遭ってしまったといったケースを防止することを想定して動いている。今よりもさらに、プラットフォームに出店している事業者側の情報を見える化し、連絡手段を確保しようとしている。プラットフォームに求められることは、今後ますます増えていくことになるだろう。

ただ、プラットフォームに出店する立場のEC事業者にどこまで影響するかについては、正直なところ、今までとあまり変化がないのではないかと思う。ヤフーや楽天、アマゾンといった大手ECモールはすでに、自社のガイドラインを明示している。良識あるEC事業者に対して、締め付けがそこまで過度に厳しくなるようなことはないと考える。

BtoCのECモールに加え、存在感が増しているCtoC取引のプラットフォームへの法規制の動きも加速していきそうだ。