『自由競争の原則はどこへ?』原油価格高騰でガソリン代に異例の補助金

補助金を支給することで、自由競争という原則を歪めかねないのではないか――。

 原油価格高騰を背景に高止まりが続くガソリン価格。新型コロナウイルス禍からの回復に水を差しかねない事態に、経済産業省が異例となる石油元売り各社への補助金制度の導入を決めた。レギュラーガソリンの全国平均の店頭価格が170円を超えた場合に、1リットル当たり最大5円の補助金を各社に支給。ガソリンなどの価格の過度な上昇を抑えるのが狙いで、時限的・緊急的な激変緩和措置として経済対策に盛り込んだ。

 対象にはガソリンのほか、軽油、灯油、重油も含める。年末年始の国民不安を解消するため、財源は補正予算の成立を待たずに予備費を活用する方針だ。事業開始は年内を予定。元売りに支給された補助金は、ガソリンスタンド等への卸売価格を抑制する原資に使われ、結果的に消費者への販売価格も抑制される、との算段だ。

 民間企業に補助金を支給し、値上げの抑制を求めるという前例のない制度。導入を主導した萩生田光一経産相は「価格上昇が適切に抑制されるよう、石油元売りや小売り、各地の団体と連携し、制度の趣旨を周知していきたい」と意気込む。

 しかし、実際にガソリン価格抑制につながるかは未知数。石油業界からは「制度が適用されても店頭価格は店舗や地域で異なる。『店頭価格が170円を超えない制度』だとの誤解を招かないよう、丁寧な説明が必要だ」(エネルギー大手)との声が上がっている。

 ただ、米バイデン政権が主導する石油備蓄の放出に協調する形で、日本も石油の国家備蓄の放出を決めた矢先に、南アフリカなどで新型コロナの新たな変異株「オミクロン型」が出現。世界経済に打撃を与える懸念があるとして、原油価格は一気に1バーレル=80ドル前後から70ドル前後へ、10ドル近く急落した。

 あくまでもガソリンの小売価格を決めるのは給油所であり、石油元売り各社へ補助金を支給しても、「どれだけの効果があるのかは不明。補助金の支給が自由競争を歪めかねない」(同)。

 ガソリン代が上がれば家計を圧迫する。足元の経済対策と自由競争という原則のバランスをどう考えていくか。今一度、国民を巻き込んだ議論が必要だ。

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