【エアライン2社】とも赤字決算 コロナ危機下で出た事業構造の差

緊急事態宣言が解除されても航空業界は苦しい環境が続く。

 ANAホールディングス(HD)の2022年3月期の通期業績予想は当初35億円の最終黒字を見込んでいたが、一転して1000億円の赤字に転落する見通しとなった。コロナの影響が想定を超えて長期化し、国際線はもとより、国内線の利用者数の回復も遅れているからだ。

 苦境を受けて同社は事業構造改革の一環として、定年退職や採用抑制などで22年度末までにグループ全体の1割に当たる約5000人を削減。全日本空輸(ANA)の航空事業は、25年度末までに2割超に当たる約9000人を減らす。

 ANAHD社長の片野坂真哉氏はかねてより「雇用はしっかり守る」と明言していた。今回の構造改革も自然減と採用抑制で達成する計画。20年に続いて希望退職を再び募集したとしても、強制的に人員を削減することは考えていないと述べる。

 ただ、パイロット不足が深刻化する「2030年問題」が横たわるだけに、パイロットの採用は進めるようだ。実際、コロナ禍の新卒採用でもパイロットなどの専門職は継続していた。

 苦境はライバルのJAL(日本航空)も同じだ。これまで未定としていた22年3月期の通期の業績予想は最終損益が1460億円の赤字を見込む。通期の最終赤字は12年の再上場以来初となった前期から2期連続。

 今回の両社の決算で注目されるのが利益でANAHDがJALを逆転したことだ。経営破綻からの復活以来、売上高ではANAHDに後塵を拝していたJALだったが、利益面ではANAHDに勝る形で「高い収益性にこだわってきた」(幹部)

 今回の決算でANAHDに劣った要因は「貨物」(JAL専務執行役員の菊山英樹氏)だ。ANAHDは貨物専用機を持っており、通常より2~3倍の運賃を記録し続けている貨物の需要を取り込んだ。JALは貨物専用機を1台も保有しておらず、「導入する計画もない」(同)

 貨物が両社の勝敗を分けた形だが、本業はモノではなくヒトの輸送。年末にかけて徐々に回復の兆しが出てきているが、辛抱の時期は続くことになる。

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