【高付加価値化粧品開発〈インタビュー〉】実正 角谷昭博営業部長「三つの乳化技術の提案を本格化」

化粧品OEMの実正は今年、化粧品の高付加価値化につながる、三つの乳化技術の提案を本格化した。3技術とも、化粧品の浸透性の向上などに貢献するという。同社では、工場の使用電力の再生可能エネルギー化を進めており、このほど再生エネルギー率100%を達成したという。同社の工場で化粧品を製造すること自体が、SDGsの文脈から高付加価値化につながるといえそうだ。同社の角谷昭博営業部長に、話を聞いた。

ーー化粧品の高付加価値化につながる、御社の取り組みについて教えてください。

化粧品の高付加価値化に貢献する製剤技術として今年、三つの乳化技術の提案を本格化しました。

その一つが、液晶乳化技術です。肌の細胞間脂質に類似したラメラ液晶構造を再現できるため、肌への浸透性の向上し、バリア機能が高まることが期待できます。

今夏に提案を本格化しました。同技術で当社が開発した「セラミド液晶ジェルクリーム」は、ラメラ液晶構造であることが、試験により確認できています。人間の肌に存在するセラミドと同等の構造を持つヒト型セラミドは、水にも油にも溶解性が悪く、製剤化が困難でした。同製品では、製剤中に液晶を形成させることで、安定的な配合を可能にしています。他社セラミド配合製品と比べて、保湿効果率が大幅に高まることを試験で確認しています。塗布前後で水分の浸透性が高まることや、あれ肌が改善することについてもエビデンスを得ています。

高圧乳化装置を使った、ナノエマルション化も今年から提案を開始しました。ナノレベルまで微細化することにより、成分の浸透性の大幅な向上が期待できます。乳化安定性の向上や、べとつかないテクスチャーの実現といったメリットも期待できます。

ーー三つ目の乳化技術についても教えてください。

マイクロエマルション技術を用いた透明乳化製剤の開発にも成功しました。これを受けて、当社では今夏、マイクロエマルション技術を用いた透明乳化製剤の提案を本格化しました。

マイクロエマルションというのは、エマルションに類似した2種の液体からなる一種の分散系です。コロイド状の粒子であるミセルの直径が100ナノメートル以下と小さく、熱力学的にも安定しています。強い攪拌などをしなくとも形成されます。ミセルが小さいため、可視光の散乱が少なく、透明もしくは半透明に見えるのが特徴です。2成分のいずれに親和性のある物質も溶解しやすいという特性を持っています。

ーーマイクロエマルション技術を用いた透明乳化製剤の利点について教えてください。

透明~半透明のエマルションを形成できるというのが利点の一つです。従来の乳化製剤は白色不透明というのが一般的でした。外観でインパクトを与えることができます。

もう一つの利点としては、高い安定性を挙げることができます。長期間経過しても、粒子径が変化せず、熱力学的に安定しています。

マイクロエマルションの粒子径は非常に細かいため、化粧品の浸透性や使用感の向上にもつながります。美容成分の浸透性が高まれば、効果実感につながりますし、べたつきのない、なじみの良いテクスチャーの実現にも貢献します。マイクロエマルション技術を用いた透明乳化製剤についても、皮膚への浸透性が高まることや、皮膚保湿効果が高まることを確認しています。

これら三つの乳化技術を用途によって使い分けていただくことにより、より付加価値の高い化粧品の開発が可能になると考えています。

ーー化粧品の高付加価値化について、他のアプローチも提供できますか。

もちろんです。例えば、その一つが、SDGsへの対応です。最近は、SDGsへの対応をしっかりと前面に打ち出すことにより、化粧品の高付加価値化につなげようという企業が増えています。そんな中、当社ではこれまでも、「おひさまでつくった化粧品」の掛け声のもと、太陽光発電システムを導入するなど、環境貢献に向けた取り組みを進めてきました。この取り組みをさらに進め10月1日からは、購入電力を100%再生可能エネルギー化することにしました。自前の太陽光発電で賄えない部分の電力についても、太陽光・風力・バイオマス・地熱などによって作られた電力を用いることにしたのです。

当社では昨年、約17万キロワット時の電力を使用していました。これを再生エネルギー化することにより、年間85.3トンのCO2の排出を削減できることになります。

お客さまも「自分たちの化粧品は、再生可能エネルギー100%の工場で製造している」と訴求できるようになると思います。当社としては今後も、環境に配慮した取り組みを行い、肌にも地球にも優しい化粧品づくりを推進していきたいと考えています。

最近では、お客さまに持ち込んでいただいた独自原料を使った化粧品の開発を行わせていただく機会も増えています。地産の原料を活用した化粧品の開発などを通して、地域産業の活性化にも貢献していきたいと考えています。

実正

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