目標管理システムの導入メリット・デメリット|システムでの人事評価手順も紹介

目標管理システム

目標管理システムを導入すると、どのようなメリットがあるでしょうか。メリットを知るには、そもそも従来の目標管理制度にはどのような課題があったかを把握することも重要です。

本稿では、目標管理システム導入前の課題を整理した後、導入のメリットとデメリットについて解説します。最後に、目標管理システムを利用した人事評価の流れについてもまとめましたのでぜひご一読ください。

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目標管理システムの導入前の課題

    目標管理

目標管理システムを導入する前には、どのような課題があるでしょうか。ここでは、大きく分けて目標管理制度を紙やExcelによる運用の問題と目標管理制度そのもの課題に分類して解説します。

1、紙やExcelで運用している場合の課題

目標管理をシステム化していない場合は、紙やExcelを利用して運用します。紙やExcelを利用していると、目標管理業務の作業量が増えてしまいがちです。なぜ作業量が増えるのか理由について順番に解説します。

1:業務負荷が大きい

目的管理制度を紙やExcelで運用していると、さまざまな場面で業務負荷が大きくなります。目標管理シートの作成・配布・回収と集計の作業は、人事担当者にとって大きな負担です。進捗管理は目標管理シートの提出状況でしか把握できず、未提出者へのフォローも手間がかかります。

また、目標管理シートは評価者以外の従業員には見せないよう、取り扱いには細心の注意が必要です。しかし手作業で配布や回収を行っていると、手間がかかる上にどうしても誤送信などの人的ミスが発生する可能性があります。

2:情報が一元管理できない

目標管理制度に関する情報は評価者のパソコンに分散して残り、一元管理が難しくなります。目標管理シート自体は人事部門で管理するとしても、面談時のメモや過去の目標管理シートの管理までは困難です。また、評価者が変わる場合に、目標管理制度に関する資料の引き継ぎがうまくいかないケースもあります。

また、過去の目標管理履歴を保管していたとしても、紙やExcelのままでは履歴情報を活かした分析をするには非常に大きな手間がかかる点も問題です。

3:データの破損や紛失のリスク

目標管理シートを紙やExcelで運用していると、シートのデータ破損や紙シートの紛失リスクがあります。Excelの場合、フォーマットの変更に伴う修正で数式が動かなくなるなどのトラブルはよく見られます。数式の修正やデータの復旧、紛失の場合は探す時間もかかり、手戻り作業による負担も無視できません。

2、目標管理制度そのものの運用面での課題

目標管理制度の運用面でも、システム化しない状態ではさまざまな課題があります。

1:目標達成プロセスでの見落としが発生する

目標管理制度導入の大きな目的は、組織マネジメントのサポートです。単に目標達成を目指すだけでなく、目標達成に至る過程(プロセス)での従業員の努力を評価することで、従業員のモチベーション向上などの成果が期待できます。

しかし忙しい評価者にとって、目標達成プロセスの確認はなかなか難しいものです。その結果、目標達成プロセスでの見落としが発生し、常態化してしまう問題があります。

2:ノルマ管理になりがち

目標達成プロセスの見落としを放置すると、目標管理制度は本来の意味を失います。その結果、目標を達成したかどうかだけを確認するノルマ確認ツールとしてしか使われなくなります。

目標設定も上司や会社からの押し付け感が強くなり、例え目標を達成したとしても、達成感は得られにくくなりがちです。結果として従業員のモチベーションは低下します。

3:目標内容の質がバラバラに

従業員が自主的に目標設定を行う場合、目標設定は必ず達成可能な低いレベルになりがちです。特に目標管理制度が人事評価と連動している場合は、簡単に達成できる目標を設定する従業員は多くなります。この状況では、従業員のスキルアップ・キャリアアップや会社の業績アップにつながりません。

目標管理制度をシステム化しないままでは、このような課題が発生しがちです。では、目標管理システムを導入することで、どのようなメリットが得られるかを解説します。

目標管理システムの導入メリット9点

目標管理システムを導入することで得られるメリットは数多くあります。ここでは主なメリットとして、以下の9点を解説します。

1、適切な人事評価ができる

目標管理システムを導入すると、評価者の担当する被評価者の評価情報を一覧形式で確認できます。顔者写真付きでどのような評価を受けているか、目標に対する達成度合いなどさまざまな指標を表示可能です。

製品によっては、人事部門による評価の甘辛調整を行える場合もあります。これらの機能を利用することで評価内容の精査がしやすくなり、より適切な人事評価ができます。

2、現状の評価制度を再現可能

現状の制度自体に不満はなく、今の制度をそのままシステム化したいという要望にも、目標管理システムは十分対応できます。

多くの目標管理システムでは、現状の目標管理制度や評価制度を再現可能にする機能を提供しています。企業独自の基準により、目標管理シートの項目や評価基準のカスタマイズはその一例です。

3、評価業務の効率化

目標管理制度をシステム化することで、目標管理シートの運用はオンラインで完結でき、紙やExcelを使った運用で抱えていた課題を全て解消できます。目標管理シートを配布・集計する作業は不要になり、進捗状況は一覧ですぐに確認可能に。進捗が遅れている従業員に対しては、アラート機能等を使ってすぐフォローできます。

また、目標管理データを一元管理して蓄積することで、過去の目標管理データ履歴を活用した目標設定や評価なども可能になります。

4、円滑なコミュニケーションが可能

目標管理システムでは、評価者と被評価者との円滑なコミュニケーションをサポートする機能も多く提供されています。評価者と被評価者の間でメッセージを送る機能や、面談の内容を記録・参照する機能などはスムーズなコミュニケーションを促す機能です。

オンラインで目標に対する実績を確認でき、目標管理プロセスに紐づいたフォローアップもしやすくなります。評価者は、実績が伸び悩んでいる被評価者に対し、適切なタイミングでのフィードバックが可能です。

5、従業員の自主性向上に役立つ

目標管理システムによって目標設定や目標達成に必要なサポートを受けられるようになると、従業員のモチベーション向上につながります。モチベーションが高くなると、従業員の自主性向上や業績アップにも大きく貢献します。

また目標設定の場では、上司はあくまでも目標設定のサポートに徹し、従業員に具体的な目標を押し付けません。そのため、従業員自身が自分で目標を設定する自主性が育まれます。

6、従業員のモチベーションの向上

目標管理システムにより評価者は目標管理プロセスを確認しやすくなり、伸び悩んでいる被評価者に対して適切なタイミングでのフォローアップが可能です。従業員は、仕事の過程を確認してもらうことで、適切にサポートを受けていると感じられ、仕事に対して前向きに取り組めるようになります。

また、目標管理システム導入時は、現状の目標管理制度を見直す絶好の機会でもあります。新しい評価手法を取り入れることで、目標管理や人事評価に対する従業員の納得感も改善され、モチベーション向上を促すことも可能です。

7、目標管理や人事評価のデータを活用・分析可能

目標管理システムでは、目標管理や人事評価に関する過去データを一元管理して蓄積します。そのためこれらのデータを活用し、さまざまな分析を容易に実施できます。例えば、各従業員の過去の目標管理設定と達成状況から、次の目標を立てる際に、従業員自身が過去を振り返って目標設定に役立てることも可能です。

また、高い業績を上げている従業員の行動特性(コンピテンシーと言います)を分析し、組織や従業員の弱点を発見するという使い方もできます。優秀な従業員の行動特性を利用して、目標管理の設定や人事評価の評価項目に反映するといった利用方法も、従業員の行動変革を促す効率的な方法です。

8、人材マネジメントへの活用

目標管理システムに蓄積されるデータを利用することで、適正な人材配置や長期的な視野に立った人材育成計画などの、人材マネジメントにも活用できます。従業員が異動する際も、これまでの業績や人事評価などの引き継ぎはシステムを確認するだけで済みます。

9、クラウド型を選んだ場合のメリット

現在、目標管理システムのほとんどは、インターネット上で提供されるサービスを利用する「クラウド型」です。クラウド型システム特有の導入メリットについても確認しましょう。

1:場所を選ばず評価・管理が可能

クラウド型のシステムはインターネット上のサービスを利用するため、社外からのアクセスが可能です。そのため、場所や時間を選ばず、目標管理に関する業務を行えます。評価者となる役職者は出張などで忙しいことも多いため、出張先ですき間時間を利用して目標管理業務を進めることも可能です。

2:システム運用負荷を軽減

クラウド型システムは、サーバマシンなどハードウェア環境やソフトウェアのバージョンアップなど、システムの運用業務をサービス提供者が行う仕組みです。サービスの利用企業は、自社でシステムの保守運用業務が必要なくなり、システム運用の負荷を軽減できます。

目標管理システムの導入メリットについて解説しました。このように多くのメリットがある一方で、目標管理システムにはいくつかのデメリットもあります。

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目標管理システムのデメリット4つ

目標管理システムを運用する上でデメリットとなり得る事柄は、以下の4点です。いずれも、デメリットとして把握して何らかの対策を行うことでフォローできるため、何がネックとなり得るのかを把握しましょう。

1、会社にとって必要のない目標設定になる可能性

目標設定で重要なポイントは、会社の企業理念や経営目標に直結しているかどうかです。何も対策をしないと、従業員個人の目標が会社や所属部門の目標からそれたものになり、人的リソースを効率的に利用できないという事態になります。

会社にとって必要のない目標設定にならないようにするには、2つの対策方法があります。

1つは、企業理念や経営目標を踏まえた部門目標を設定し、従業員は部門目標から個人の目標を設定するように促す運用ルールの構築です。ルールに沿って目標を設定することで、従業員は自然と経営目標を取り込んだ目標を設定できるようになります。

もう1つの方法は、従業員の目標設定面談の場で、個人目標が部門目標からずれていないかを上司が確実にチェックするよう仕組み化することです。どちらの方法も運用ルールに盛り込むことで、従業員の目標が経営目標からそれることはなくなります。

どちらの方法も運用ルールがポイントとなるため、目標管理システム導入前にはルール化するようにしましょう。

2、ノルマ管理として使うと従業員のモチベーション低下を招く

目標管理システムを導入しても、ノルマ管理として使ってしまうと、従業員のモチベーションは低下します。従業員が設定する目標も、簡単に達成可能なレベルになりがちで、業績アップにつながりません。

このようなデメリットを解消するには、目標管理プロセスでの適切なフォローアップの実施や、目標の設定レベルを運用ルールで適切なレベルに指定することが大切です。目標のレベルは挑戦的な要素を含めるようにし、従業員自身の成長を促せる内容にするといいでしょう。

ただし、目標設定レベルの難易度を高めに設定する場合は、同時に目標達成のプロセスで従業員の頑張りをしっかり評価できる仕組み作りも必要です。目標が達成できていなくても頑張りを認められることで、従業員のモチベーションは向上し、安心して挑戦的な目標に取り組めます。

3、評価者の負担が増える

目的管理システムで、期中のフォローアップを行うよう運用すると、評価者の負担は大きくなります。評価対象の部下が多いと、負担はかなりのものです。評価者の負担を下げるためには、部下全体の進捗状況を確認できる機能や、簡単にメッセージが送れる機能を備えた製品選びが重要です。

4、システムが使いにくいと定着しない

目標管理システム自体の操作性が悪いと、システムの運用が滞ってしまいます。使いやすいシステムを選ぶには、無料トライアル等を利用して操作感を調査することが重要です。操作感を確認する場合は、実際にシステムを利用する現場部門にも協力してもらいましょう。

目標管理システムのデメリットは、いずれもシステム導入前に何らかの対策を行うことでフォロー可能です。次に、目標管理システムを利用した人事評価の手順を紹介します。

目標管理システムによる人事評価の手順

目標管理システムを導入した後、人事評価の手順は以下のようになります。システム導入後の運用を検討する際に参考としてください。

1、経営戦略の具現化と各部門の組織目標設定

従業員の目標設定前に、今期の経営戦略を具体的に決定し、経営戦略を踏まえた組織目標を設定します。各部門の役割にそった組織目標する際は、できる限り成果を数値化した定量的な目標を入れることが重要です。

2、目標設定の面談

各部門の組織目標を踏まえ、従業員と上司で目標設定の面談を行います。上司は今期の経営戦略や組織目標について説明を実施。従業員の目標設定においても組織目標を反映するように説明を行います。

3、部門の組織目標から個人の目標を設定

上司と目標設定の面談を行ったと、従業員は、部門の組織目標から個人の目標を設定します。目標設定が完了すると、上司に完了報告をして面談の日程調整を行います。

4、上司と部下で設定目標のレビューを行い行動開始

部下の設定した目標について、上司はレビューを行い、双方が合意すると木曜設定は完了です。部下の設定した目標が組織目標を反映しているかどうかをしっかり確認し、ブレがあれば修正をサポートすることも重要です。目標が決まったら、日々の業務で目標達成の行動を開始します。

5、設定した目標の定期的な中間レビュー実施

期首に設定した目標は、期中のどこかで中間レビューを実施します。中間レビューの頻度は自由に設定可能です。しかしあまり頻度が多いと評価者の負担になるため、期中に1回行うケースが多く見られます。

中間レビューでは、これまでの仕事内容を振り返り、上司から適切なアドバイスやフォローアップを行い、部下の設定した目標の達成をアシストすることが重要です。

6、期末に上司が評価を実施

期末には、上司が目標の達成度や部下の努力などを勘案して人事評価を実施します。評価項目は別途会社から展開されますが、評価軸は「能力」「業績」「情意」の3点です。評価実施には、部下の過去の業績や評価対象者全員を確認できる一覧など、目的管理システムの機能が役立ちます。

7、査定評価調整と報酬連動

全部門の評価が出そろった段階で、人事部門は査定評価調整を行います。評価者の定期的な研修によって、評価スキルの質向上に努めても、やはり評価者によって評価の甘辛傾向には違いが出がちです。

目標管理システムの中には、評価の甘辛調整を自動で行う機能があり、人事部門はこの機能を使ってより平等な評価となるよう調整します。

査定評価調整後は、評価結果に基づき報酬を決定します。給与テーブルと評価結果の関係を明示することで、賃金制度の透明性が高まり、不平等感の解消に役立ちます。目標管理システムの中には、報酬配分をシミュレーションできる機能もあり、人件費の総額管理に便利です。

8、上司から部下へフィードバック

評価決定後は、上司から部下へフィードバックします。評価が部下の自己評価と比べて低かった場合は、どの部分が足りなかったのかを評価内容を一緒に確認しながら説明することが重要です。部下は、どのようにすればより高い報酬を得られるかの指針ができ、仕事へ前向きに取り組めるようになります。

9、組織分析を行い次の経営戦略へ反映

評価が確定した後は組織分析を行い、今期の課題や自社の強み・弱みを洗い出します。これらの分析結果を次の経営戦略に反映することで、継続的な経営改善ができるようになります。

目標管理システムのメリットを理解して活用を

目標管理システムを導入することで、目標管理制度を効率的に進めることができ、多くのメリットを得られます。目標管理システムのメリット・デメリットを把握して、システム導入前に目標管理制度の運用ルールを見直すなどの準備を行い、メリットを最大限に活かせるようにしましょう。

目標管理システム導入を検討する場合は、さまざまな製品をよく比較し、自社に合った製品を見つけてください。

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