日本気象協会 常務理事 事業本部長 古市信道氏

発表会の冒頭では、日本気象協会 常務理事 事業本部長 古市信道氏が挨拶に立った。古市氏は「ハーモナビリティ」というキャッチを披露したが、その意味は「自然と調和した社会」の実現を目指すということらしい。さらに「自然を人間がコントロールすることはできない。緩和策と適用策が必要だ」とした。緩和策は温室効果ガスを削減を進め、温暖化を抑えること、適応策は「高温障害対策」「熱中症予防」「洪水危機管理」といった施策を社会全体の取り組みとして実施することだという。

「2月に気候変動適用法案が閣議決定された。国民、企業、官公庁が一体となって熱中症対策に取り組み、日本気象協会も気象情報を核に予防に関わっていきたい」(古市氏)と話す。

周囲が海・太平洋高気圧・ヒートアイランドの複合

続いて、日本気象協会 気象予報士 石榑亜紀子氏が登壇。日本の夏の暑さについて解説した。「日本は四方を海で囲まれており、湿気が高い。その湿気と気温により、暑さを感じやすくなる。また、これからの季節、南方の熱気を含んだ太平洋高気圧が張り出してくる。その影響も大きい。さらに、都市部ではヒートアイランド現象が生じやすい」と話した。

石榑氏によると、コンクリートやアスファルトは、熱を持つのに時間がかかるが、冷えるのにも時間がかかる。つまり、日が落ちても暑さが収まりにくいということだろう。また、今年の夏は例年よりも暑いと予測され、7月は特に厳しくなりそうだと結んだ。

  • 左:日本気象協会 事業本部 メディア・コンシューマ事業部 メディア事業課 石榑亜紀子氏。右:同 コンシューマ事業課 コンテンツグループ 曽根美幸氏

そして、日本気象協会で「熱中症ゼロへ」プロジェクトを率いる曽根美幸氏が、具体的な施策について解説した。それによると「1:熱中症とは何か知る」→「2:今いる環境が熱中症になりやすいか気づく」→「3:熱中症予防のための正しいアクション」をいかに知ってもらうかが大切だという。

椿山荘の庭園で和傘を披露する外国人モデル。右の方はウガンダ出身だが、日本の夏の方が圧倒的に暑いそうだ

さらに外国人観光客向けには、観光案内所で熱中症対策のリーフレットを配布したり、直感的にわかりやすいピクトグラムを掲示したりで、熱中症対策の啓発を行うという。ユニークなところでは、ホテル椿山荘東京や目白庭園といった、インバウンドに人気の施設・スポットで和傘をレンタル。強い日差しを避けてもらおうという試みも計画している。