スターバックス コーヒー ジャパンが9日から発売する新作フラペチーノの「エスプレッソ アフォガート フラペチーノ」。大人のフラペチーノと表現されるこだわりの一品は、味に深みがあり、重要な領域に位置づけられる戦略的商品となっている。

  • 「エスプレッソ アフォガート フラペチーノ」とともに。写真中央:スターバックス コーヒー ジャパン水口貴文社長

スタバ新商品は大人のこだわり

同社が明日から発売するのは「エスプレッソ アフォガート フラペチーノ」(価格はショートで税別510円)。口に含むと、ほろ苦くて、ほろ甘い、大人のフラペチーノと表現される商品だ。商品開発にあたっては、本場ミラノを足を運び、飲料にバニラアイスをかけて食べるアフォガートから着想を得て、それをフラペチーノで表現した。

  • アフォアガートから着想を得た大人のフラペチーノ

主役のエスプレッソは、より強い香りと適度な苦味とともに感じてもらうために、コーヒー豆は通常ながら、4分の3の湯量で抽出。そこにイタリアと同様の飲み方にすべく、ブラウンシュガーを加えた。ベース部分には、後味のすっきりとしたクリームを使い、エスプレッソを引き立てるように工夫をしたという。

この商品で強調しておきたいのは、プレスリリースに記されている"本格・本物"や"こだわり"などと言った表現だ。

こうした麗しい表現がリリース上で使われることはままあるが、あえて取り上げたのは、同社が汲み取ったニーズが、"本格・本物""こだわり"だったからである。分析してニーズを汲み取り、それを形にしたのが、「エスプレッソ アフォガート フラペチーノ」となる。

30代・40代が大切にする価値観

同社が何をどう分析し、こうした結果にいたったのかを記していこう。

スターバックスが「コーヒー・ティー」と「フラペチーノ」で分けたところ、フラペチーノのほうが大きな成長を遂げていた。しかしながら、年代別で見ると、30代、40代の最頻飲料は、フラペチーノではなかった。フラペチーノのメイン客層は、若年層の女性が中心、少し特別なシーンに購入するご褒美需要として購入されていると分析した。

一方で、30代・40代が大切にする価値観が"本格・本物"と"こだわり"だった。「普段飲んでいるコーヒーよりもおいしければ、価格が高くても購入する」「コーヒーの香りやコクにこだわっている」「洋服や時計・靴などは、価格が高くても長く使えるものを求める」などとするのが、スターバックス愛用者のリアルな声である。40代がスターバックスに求めるものも、エスプレッソの味や品質などが上位を占めており、30代・40代のニーズを探ると、本物感やこだわりといった言葉が見えてくるのだ。

  • 30代・40代は"本物"を求める傾向に

こうした価値観に合わせ、ニーズを満たしながら「30代、40代にご褒美需要はもっとあるはず」(水口貴文社長)と踏んで、商品開発を進めた。経緯から考えるならば、新作フラペチーノには、30代・40代に向けた、スターバックスが考える"本格・本物感"が詰まっていると考えてよさそうだ。

同社では、今回の新商品の位置づけを「新ビバレッジ領域」と呼び、先々も同じ領域での新商品を展開していくという。新領域を確立するには、今回のフラペチーノの成功が欠かせない。スターバックスが考えた新商品の本格・本物感は、狙い通り受け入れられるだろうか。

  • フラペチーノとエスプレッソ系ドリンクの間を埋める新ビバレッジ領域として新商品は期待されている