LINEを本気で追撃するには速度感が足りない

現在日本で最も広く使われているメッセージングサービスであるLINEは、「LINE公式アカウント」や「LINE@」といった法人向けサービスが順調に利用数を増やしており、サポート窓口や各種キャンペーンの告知などが日常的に広く使われている。企業アカウント向けに、リコール情報などを流す「通知サービス」も実装されたばかりであり、ますます社会インフラとしての位置を確立している。

+メッセージは、発表会では「LINE対抗ではない」と明言されてはいたものの、実際には個人間のコミュニケーション手段としての利用は当然として、やはり企業などのアカウントを扱いたい側面は否めないだろう。RCSはSMSと同様、インターネットに接続されていない独立したサービスであることから、2段階認証のパスフレーズの送信など、信用性やセキュリティを重視する用途には欠かせない存在だ。このセキュアさや信頼性の高さを生かして、企業や省庁、自治体などの需要を一括して担い、現在LINEが担っている役割を置き換えるだけのパフォーマンスはある。

だが、前述したように、中心となって決定権を持った存在が不在であるため、新しいサービスは決めなければならないことも多く、変更も多数施さねばならないケースが多いが、その度に3社間で調整するのでは決定に時間がかかりすぎる。本気でLINE対抗を考えるのであれば、変化・変更を恐れず、意思決定のスピードを高めて取り掛かる必要があるだろう。ユーザーはそうした「本気度」に敏感なため、下手をすれば、せっかく導入したのに誰も使わないサービスになってしまう恐れもある。MNO3社がどの程度本気で「+メッセージ」に取りかかるのか、非常に興味深い。