MVNOの伸び悩みがファーウェイの成長の妨げに?

ファーウェイが攻めの姿勢を続けている理由は、日本でそれだけの実績を上げているからに他ならない。Mate10 Proの発表イベントに際して、ファーウェイのデバイス 日本・韓国リージョン プレジデントである呉波氏は、さまざまな数字から、同社が日本市場でいかに成長しているかを力説している。

その一例として、BCNの家電量販店・オンラインショップの実売データを挙げると、国内のスマートフォンメーカー販売台数シェアが、昨年は5.48%であったのが、今年は8.31%と、倍近くに伸びているという。またBCNやMM総研など複数の調査によると、同社はSIMフリースマートフォンの市場シェアで1位の座を獲得するに至ったというのだ。

  • 各種調査によると、ファーウェイは国内のSIMフリースマートフォン市場で1位の座を獲得したとのこと

その背景にあるのは、やはりグローバルでの製品力の強さであろう。ファーウェイはここ数年来ハイエンドモデルの製品開発に力を入れており、ダブルレンズカメラを搭載したPシリーズなど、ヒットモデルを生み出し同社の人気を広げる原動力となっている。実際、ファーウェイのグローバルでの出荷台数が前年同期比19%増であるのに対し、売上は30%伸びているそうで、ハイエンドモデル重視の戦略が功を奏している様子がうかがえる。

そして日本では、他の国と比べとりわけハイエンドモデルの人気が高い傾向にある。グローバルでの高いシェアを生かして研究・開発に積極投資し、スマートフォンの性能を高めてきたことが、ハイエンドモデルを好む日本のユーザーにうまくマッチするようになった。そうしたことからファーウェイが、ライバルを押しのけてSIMフリー市場でトップの座を獲得するに至ったといえるだろう。

だが、SIMフリースマートフォンの販売を重視するファーウェイの弱点となるのが、ここ最近のMVNOの伸び悩みである。MVNOへの顧客流出に危機感を抱いた大手キャリアが、通信料金の引き下げや、サブブランドの強化などによって顧客流出を防止するための施策を相次いで打ち出したことにより、MVNOへ流出するユーザーが急速に減少しているのだ。

実際今年後半に入ってからは、「FREETEL」ブランドのプラスワン・マーケティングが、MVNOによる通信事業を楽天に売却したり、MVNOの大半にネットワークを貸しているNTTドコモが、MVNOの伸び悩みによって純増数予測を大幅に下方修正したりするなど、MVNOに関するネガティブな動きが相次いで起きている。MVNOの利用者が増えなければ、MVNOのSIMとセットで販売されることが多いSIMフリースマートフォンの販売も伸び悩んでしまうだけに、現在の傾向はファーウェイにとっては痛手といえるだろう。