経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は、「第二の創業」と位置づけた構造改革における新たな組織体制を発表。また、戦略的製品のスマートフォン向け液晶ディスプレイ「FULL ACTIVE」を報道陣に公開した。

2017年度に構造改革をやり終え、企業体質を"稼げる筋肉質"に変える方針を示しているJDI。2018年~2019年度には、FULL ACTIVEと車載を柱とした収益構造を確立し、有機ELは2019年度には量産する予定だ。有機ELのリーディングカンパニーを目指すだけでなく、2019年度に営業利益400億円以上、営業利益率5%、フリーキャッシュフローで300億円以上を目指す。

(左から)ジャパンディスプレイ 上席執行役員 モバイルカンパニー社長の永岡 一孝氏、ジャパンディスプレイ 代表取締役会長兼CEOの東入來 信博氏、ジャパンディスプレイ 執行役員 チーフマーケティングオフィサーの伊藤 嘉明氏

アクア前社長の伊藤氏が参画

今回の発表では、「カンパニー制の導入」と「マーケティング&イノベーション担当」の新設を明らかにした。カンパニー制では10月1日より、属性が異なる顧客をカテゴリー分けするとともに、権限を大幅に委譲。収益責任の明確化を図るとともに、意志決定を迅速にすることで経営のスピード化を目指す。

具体的には、2400人で構成するモバイルカンパニー、車載インダストリカンパニー、ディスプレイソリューションズカンパニーの3カンパニー体制としたほか、COO(業務執行役員)直下にOLED事業開発統括部を設置。蒸着方式の有機ELパネルの事業を展開し、将来的にはモバイルカンパニーに組み込む構想だ。

「5000人いる会社であり、新たな体制に移行するには、時間がかかる。ひとつのコーポレート、3つのカンパニーに再編するとともに、420のポジションを280に削減し、組織のスリム化を行う」(ジャパン ディスプレイ 代表取締役会長 兼 CEO 東入來 信博氏)

マーケティング&イノベーション担当の新設では、チーフマーケティングオフィサー(CMO)を新設。三洋電機の冷蔵庫事業や洗濯機事業が中心となって中国ハイアール傘下で設立された「アクア」の前社長である伊藤 嘉明氏が、10月1日付けで就任する。

伊藤氏は、「第二の創業を担うスピード改革、モノづくりだけではないコトづくり、顔が見える企業コミュニケーションの3つが私の役割である」とし、「第二の創業で掲げた『破壊と創造』のうち、創造を受け持つことになる」と語る。

また、「モノづくりに留まらず、コトづくりが、JDIのこれからの新たな方向性となる」と語り、これまでは部品として作ったモノを完成品として納めてきたが、「コト」による新たなビジネスモデルに転換することを目指す。

ただ、「部品で完成品メーカーに納めるのは、シーズベースであり、ニーズベースだが、これからはウォンツベースで『何かできないのか』を考えていく必要がある」と語り、一朝一夕では実現できないと慎重な見解を崩さない。その上で、「パートナー企業からのリクエストだけでなく、自らこんなことができるのかということを提案し、中長期のビジネスにつながるようにしたい」と伊藤氏は述べた。