昨年、国立西洋美術館が世界文化遺産に登録され、そして2017年にパンダの赤ちゃんが誕生し、9月21日には生後100日を迎えた。そんなニュースにわき上がる東京・上野御徒町地区に新たなランドマークが11月4日に開業する。「上野フロンティアタワー」だ。

上野フロンティアタワー

上野フロンティアタワーの開業は、世界遺産登録やパンダの赤ちゃん誕生に比べれば、そのインパクトは弱いといわざるをえない。だが、この周辺地域には、待ち望まれた新たなランドマークであることは確かだろう。というのも、上野御徒町にはランドマークとなるような目立ったビルディングはなく、どうしても“ローカルな街”というイメージがぬぐえないからだ。

たとえば六本木には「六本木ヒルズ」「東京ミッドタウン」が、渋谷には「渋谷ヒカリエ」が、池袋には元祖高層ランドマークともいえる「サンシャインシティ」がある。こうしたランドマークは、単にオフィス利用というだけでなく、映画館や水族館といったレジャー施設、高感度なショッピングができるテナントが入居するなど、東京都内外からの集客に大いに寄与している。

上野御徒町の新名所として期待

ところが、上野御徒町にはそうした目立った高層ビルのランドマークはなかった。確かに上野恩賜公園や隣接する博物館群、動物園などの集客力は高い。アメヤ横町という、独特の商店街も集客の要だろう。ただ、“それらプラス何か”が求められていたことも確かだ。“その何か”のひとつの答えが、上野フロンティアタワーといえよう。

松坂屋上野店と上野フロンティアタワーは、2本の空中ブリッジと地下でつながっている

この上野フロンティアタワーは、少々ユニークな“仕掛け”がある。立地はもともと松坂屋上野店南館があった場所で、その南館を建て替えるカタチで上野フロンティアタワーが誕生した。一般的に考えれば、当然、松坂屋上野店南館がリニューアルしたという認識となる。だが、松坂屋上野店新南館は入居するが、加えてPARCOが同居することになる。

考えてみれば単純な話だ。松坂屋を運営する大丸松坂屋もPARCOを運営するパルコも、ともにJ.フロント リテイリングのグループ企業。同居してもなんら違和感はない。とはいえ、松坂屋が入居するのは地下1階のみで、1~6階はPARCOとなる。松坂屋のメイン売り場は、もとからある松坂屋上野店となり、タワーとは地下通路と2本の空中ブリッジで結ばれる。