iPhone Xは来年以降を見越した準備段階のモデルか

確かに有機ELでは当面、実質的にサムスンディスプレイに調達先を依存せざるを得ず、供給量を大きく増やすのは難しい。それゆえiPhone Xの発売時点では、有機ELの供給体制が原因で生産数を拡大できず、iPhoneファンからの旺盛な需要に応えるのは難しいかもしれない。だがアップルがそれでもiPhone Xに有機ELを採用したのは、さらにその先を見越してのことではないかと考えられる。

その理由は、サムスンディスプレイ以外の企業が、有機ELディスプレイの生産体制を確立させつつあるからだ。中でもLGディスプレイは、今年から来年のうちに中小型の有機ELディスプレイを安定供給する体制を整えるのではないかとの見方がなされている。

実際それを示すかのように、今年9月にグループ企業のLGエレクトロニクスが発表したスマートフォン「LG V30」には、LGディスプレイ製の有機ELディスプレイが搭載されている。これまで液晶ディスプレイに力を入れてきたLGが、有機ELを前面に打ち出したスマートフォンを投入してきたことは、同社の戦略に大きな変化があったと見ることができよう。

LGエレクトロニクスがLGディスプレイ製の有機ELディスプレイを搭載した「LG V30」を発表したことは、LGディスプレイの有機ELディスプレイ生産体制確立の予兆と見ることもできる

さらに来年以降になれば、JOLEDなど他のディスプレイメーカーも生産体制を確立させ、急速に中小型の有機ELディスプレイが広まる可能性が高い。アップルもそうした業界動向を見越し、今後液晶から有機ELへと移行するための布石として、やや先行する形でiPhone Xに有機ELを採用したと見ることができそうだ。

それゆえiPhone Xは、アップルにとってスマートフォンの未来を見せる新機軸の端末である一方、今後本格的に有機ELディスプレイへと移行し、その安定生産を確立させる準備段階のモデルであり、当初から大きな販売台数を期待していない可能性も高いのではないだろうか。アップルが真に本気を見せるのは、iPhone Xの次に来る来年のモデルになるといえそうだ。