右旋・左旋とはなにか

ところで、右旋および左旋という言葉が急に聞かれるようになってきたが、これは果たしてなんなのだろうか。

これは、その名の通り、衛星から見て、時計回りに回転するものを右旋、反時計回りに回転するものを左旋と呼ぶ。いわば周波数の効率的利用を行うもので、BS・110度CSにおいて、同じような周波数帯を、右旋と左旋によって切り分けて利用することで、大幅なチャネル増を実現することができる。左旋での放送は日本では初めての取り組みになり、世界的に見ても珍しい。

A-PABでは、「すでに右旋には新規チャネル割り当ての余裕がなく、新たに左旋を開拓する必要があった。基幹放送普及計画では、超高精度テレビジョン放送においては、左旋円偏波の電波の周波数を使用して放送を行うことを基本としており、左旋は4Kおよび8K放送の基本的な伝送路になる」と説明する。

右旋はすでにNHKと民放のBSで割り当てが埋まっているんですね

左旋による放送波を受信するには、BS・110度CS右旋左旋用アンテナ(右左旋共用アンテナ)を使用する必要があるが、1本の同軸ケーブルで右旋と左旋を同時配信できるように、右旋IF(中間周波数)の上側に左旋IFを配置。アンテナ受信時に、伝送上、右旋と混信しないように、コンバータで変換。右旋では、1032.23MHz~2070.25MHzを使用し、左旋では2224.41MHz~3223.25MHzを使用することになる。

このほどA-PABが実施する左旋による4K試験放送は、中間周波数帯で一番高い、3224MHzの周波数を利用し、受信チューナーの開発、試験、検証を行うことで、2018年12月の実用放送の開始までに、新たな4Kおよび8K放送の受信環境を整備する狙いがある。

毎日午前11時~午後5時までの6時間、スカパーJSATから提供される4Kコンテンツを放送するが、この受信機が、現時点では日本に3台しかないため、一般視聴者が試験放送を受信することはできない。

茶の間のテレビ……大画面の主流はすでに4K

では、現時点での4Kテレビの普及はどうなっているのだろうか。

量販店のPOSデータなどを集計しているBCNによると、2017年3月の集計で、4Kテレビの構成比は25.9%と、4台に1台の割合になっている。しかも、40型以上の大画面テレビで見た場合には、64.3%にまで上昇し、3台に2台が4Kテレビとなっている。1台目のテレビとしてリビングに設置される大画面テレビの主流は、すでに4Kテレビになっているといっていい。

一般社団法人電子情報技術産業協会の予測によると、2018年には4Kテレビが年間450万台、2Kテレビが年間410万台と出荷台数が逆転。2020年には4K化率が約70%に達すると予測し、年間740万台の4Kテレビが出荷されると見ている。

シャープの4K HDR対応液晶テレビ『AQUOS U45』

ところで、現在販売されている4Kテレビでは、2018年12月から開始されるBS・110度CSの右旋、左旋による4K放送は受信できないことを知っているだろうか。